著者
赤真 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.464-475, 2011 (Released:2011-12-31)
参考文献数
85
被引用文献数
1 2

Henchが関節リウマチ(RA)患者に初めてステロイド(コルチゾン)を試用したのは1948年であった.諸刃の剣であるステロイドの歴史を繙くと,21世紀のリウマチ医も改めて学ぶべき点が少なくない.本稿では基礎研究からは,脂肪組織などの細胞内でコルチゾン(不活性型)からコルチゾール(活性型)への変換を促進する11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 1について簡潔に概説する.さらにステロイドのnon-genomic作用機構とメチルプレドニゾロンパルス療法との関係も推察する.臨床面では,わが国の大規模コホート研究と生物学的製剤の全例調査で得られる実地臨床データを利用して,ステロイドの使用実態を紹介する.近年,日本でも各種生物学的製剤が続々と登場している.ステロイド併用率・投与量の変遷を追跡すること,RA低用量ステロイド療法におけるeffectivenessの詳細を明確化すること,などは今後の課題といえる.いくつかの用語の定義や解説も加え,ステロイドに関する話題を提供する.