著者
越沢 徳美 岡田 稔 横山 祥
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.1220-1223, 1959-08-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8

パルプの塩素処理に際して起るセルロースの不均一系酸化崩壊に対して, パルプ中に含有されるリグニンの及ぼす影響と,塩素水溶液に微量のアンモニア化合物を添加した場合の効果とを論じた。ブナサルファイト未晒パルプおよびそれを亜塩素酸ソーダで段階的に脱リグニンして調製したパルプについて,種々の条件で,普通の塩素処理とアンモニア化合物を添加した塩素処理とを行い,各場合の挙動を比較検討した。パルプ中に含まれるリグニンはその塩素化反応速度が速いために有効塩素を優先的に消費し,セルロースの酸化崩壊を緩慢にして保護的作用を示す。またアンモニア化合物を添加して塩素処理すると,セルロースの酸化崩壊が著しく抑制され,効果的に脱リグニンし得ることが確認された。