著者
西 薫 辻 ひとみ 中村 哲史 山本 明美 飯塚 一
雑誌
皮膚病診療 (ISSN:03877531)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.39-42, 2005-07
被引用文献数
1

出版社版79歳男.脳出血,脳血管性痴呆の既往があった.疥癬治療後,両上肢に無症候性紅色結節が出現した.受診時,両上腕,腋窩,肘内側に直径2cmまでの暗赤色で表面平滑,境界明瞭な結節を認めた.苛性カリ検査は陰性であり,皮膚生検を行った.病理組織学的所見では血管,附属器周囲にリンパ球,組織球様細胞と少数の好酸球を,真皮上層に多数の炎症性細胞浸潤を認めた.免疫染色ではCD3,CD45RO陽性のT細胞とCD20,CD79陽性のB細胞の浸潤を,また,S100陽性細胞の多数浸潤を認めた.post-scabetic nodulesと診断した.ステロイド外用により約半年で略治した.本疾患は疥癬治療薬の無効な反応性病態ととらえられ,疥癬の治療歴のある患者においては念頭に置くべき疾患であると考えられた。