著者
林 圭 西 薫 堀 仁子 山本 明美
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.671-674, 2016-08-01

要約 25歳,男性.ブリ摂食後に蕁麻疹の出現を数回経験していた.生寿司を摂取後に顔面の瘙痒と息苦しさを自覚し,救急外来を受診した.クロルフェニラミンマレイン酸塩とメチルプレドニゾロンの点滴を行ったところ症状は速やかに改善した.問診の結果,ハマチの寿司を摂食したことが原因であると考えられた.魚介類のIgE-RAST検査はすべて陰性であり,マグロ,カツオ,シメサバ,アジ,ブリ,ハマチでプリックテストでは,ブリとハマチのみに陽性を示した.病歴からヒスタミン中毒やアニサキスアレルギーは否定的であり,ブリ(ハマチ)単独のアレルギーと診断した.ブリ(ハマチ)のアレルギーではパルブアルブミンやコラーゲンなどの抗原蛋白の関与は低いとされている.ブリは比較的有名な出世魚であるが,患者はブリとハマチが同種の魚であることを知らなかった.魚は地域や大きさによりさまざまな呼び名が存在するため,医療者側も注意が必要である.
著者
上西 薫 坂本 貞人
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
榮養・食糧學會誌 (ISSN:18838871)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.179-182, 1949

○パームチツトを用いるビタミソ定量法 (藤田秋治, 日新醫學。35巻, 10號, 473. 昭23. 10月)<BR>パームチツトを使期してビタミソ定量を行う從來のHennessyの方法に多少の改良を加えた定量法を考案した。改良の主鮎は赤血懸とNaOHの母を適當に濃度を加減する事により螢光の影響が著しく減ずる事, メタ燐酸を適當に用いる除蛋白法によわ盲螢光物質の除去が容易となる。盲螢光の除去の完全に出來ぬ時, 亜硫酸ソーダによってB<SUB>1</SUB>を壊し, 盲螢光を残して赤血璽の影響を主實驗と盲驗とで同一ならしめ測定を精確に行ら事が出來る。コカルボキシラーゼの水解を高濃度の酵素を用い短時間に完了させ得ること等によって血液, 動植物組織中のビタミン定量を容易に行う事が出來る。(原)<BR>○體質について (大里俊吾, 日本臨床, 6巻, 6號, 1, 昭23, 6月) 日本人の體格, 體型と機能 (肺活量, 體力檢定) 體格及體型の成生等に關し縷述説明し, 著者の體質観として, 體質とは遺傅的に生れ, 環境に育れた「人」の形態的 (解剖的) 機能的 (生理學的, 生化學的, 心理學的) 要素よりなる有機的全體であって, 固體を特徴づけ固體生活史において一貫せる底流をなせるものであると結論する。(原)<BR>○ゼラチン溶液によるネフロ一ゼ (Skimsnes, O, K, Surg. etc. 85 (5) 553~571, 1947, Nov, 日本臨床, 海外文献, 6巻2號, 昭23, 2月)<BR>失血の補給用としてゼラチン溶液の注射が行われているが, 之によってネフーゼが起った例が21例あつた。<BR>悪性腫蕩手術後ゼラチソ8%の生理食監水通常8ccを用いている。臨床的には症状に變りなく血液及び尿の所見に異常はなかつた。解剖により曲細尿管主部の糸毬體に近い部分に水様腫脹が認められた。恐らく此變化はゼラチソ溶液が, 細尿管で滲透作用によつて細尿管上皮細胞の水を吸出すためであろうと思われる。心臓及び腎臓に疾患のある者にはゼラチソ溶液を用いる事を警戒せねばならない。(原)<BR>〇葉酸の臨床懸用 (醫學のあゆみ, 6巻3號167, 昭和23, 9月)<BR>葉酸 (テロィルトグルタミン酸) が有効な疾患として血液病 (悪性貧血の血液症状, 小兒のメガロプラスト性貧血, 不應牲のメガ費プラスト性貧血, 熱帯性大細胞性貧血, 榮養性中性好性細胞減少症及び榮養性大細胞性貧血) 胃腸管碍害 (熱帯性又は非熱帯性スプルー, セリアツク病, 慢性下痴を含む) がある。
著者
上西 薫
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-23, 1949
著者
阿部 裕輔 鎮西 恒雄 磯山 隆 満渕 邦彦 松浦 弘幸 馬場 一憲 河野 明正 小野 俊哉 望月 修一 孫 艶萍 今西 薫 吉澤 誠 田中 明 内山 賢一 藤正 巌 渥美 和彦 井街 宏
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.21-26, 1997-02-15
被引用文献数
7

1/R制御により、完全置換型人工心臓ヤギで532日の長期生存を得た. 術後経過としては、ポンプ内に血栓を生じたため、左右の血液ポンプを交換したこと、胸部の圧迫壊死層から出血をきたし、貧血の状態となったことなどがあったが、制御は順調に継続できた. 生存期間を通して、血行動態は安定し、右心房圧も低値に保たれていた. 血液生化学データ上も異常は見られず、ホルモン値にも異常は見られなかった. 剖検時に腹水はなく、肉眼的には肝臓病変も見られなかった. また、心拍出量は、大動脈圧とは関係が見られず、総コンダクタンスと相関が見られ、術後2週間および出血後2週間はヘマトクリット値と逆比例の関係が見られたが、それ以外の時期にはヘマトクリット値や総タンパク値とはあまり関係がないなどの興味深い所見も得られた. 本研究により、1/R制御の生理的な長期安定性が確認できた.
著者
西 薫 辻 ひとみ 中村 哲史 山本 明美 飯塚 一
雑誌
皮膚病診療 (ISSN:03877531)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.39-42, 2005-07
被引用文献数
1

出版社版79歳男.脳出血,脳血管性痴呆の既往があった.疥癬治療後,両上肢に無症候性紅色結節が出現した.受診時,両上腕,腋窩,肘内側に直径2cmまでの暗赤色で表面平滑,境界明瞭な結節を認めた.苛性カリ検査は陰性であり,皮膚生検を行った.病理組織学的所見では血管,附属器周囲にリンパ球,組織球様細胞と少数の好酸球を,真皮上層に多数の炎症性細胞浸潤を認めた.免疫染色ではCD3,CD45RO陽性のT細胞とCD20,CD79陽性のB細胞の浸潤を,また,S100陽性細胞の多数浸潤を認めた.post-scabetic nodulesと診断した.ステロイド外用により約半年で略治した.本疾患は疥癬治療薬の無効な反応性病態ととらえられ,疥癬の治療歴のある患者においては念頭に置くべき疾患であると考えられた。
著者
井街 宏 鎮西 恒雄 満渕 邦彦 藤正 巖 今西 薫 阿部 裕輔
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

人工心臓は心臓手術後の循環補助や心臓移植への繁ぎとして多くの臨床例に用いられ患者の救済に役立っている。しかし、現在の人工心臓は形態的にも機能的にも生体心臓の模倣を目標に開発されてきたため、健康を維持する能力はあっても病気に陥った臓器を積極的に治療・回復させたり目的に応じて特定の臓器や組織の機能を昴進させる能力がないなどの限界を有している。本研究はいままでの人工心臓と180度発想を転換した場合、10-20年後を指向した次世代型人工心臓としてどのような人工心臓を開発すべきかについてその基本構想を述べ、それに対する基礎的実験を行なうことを目的とした。3年間の研究成果は以下の通りである。1 次世代型人工心臓として分散型人工心臓を提唱してその開発の意義や可能性について考察した。2 システムの小形化の研究を行ない、(1)人工心臓用Jellyfish弁の小形化、(2)新しい方式の人工心臓の開発とその小形化の研究、(3)新しい方式の補助循環装置の開発、(4)マイクロマシンの技術による人工筋肉の開発とその理論解析などで新しい知見を得た。3 新しい計測法の研究として、(1)材料表面に吸着するタンパクの動的挙動の測定、(2)血中カテコラミン測定センサの開発、(3)微小循環の長期間実時間観察法の開発などこれまで不可能であった計測法の研究開発を行なった。4 新しい制御方法の研究の結果、人工心臓を装着した生体自身に自己の人工心臓を制御させるという全く新しい制御方法(1/R 制御方法)を考案し、ヤギを360日間生存させることに成功した。
著者
末沢 一男 小西 薫 西村 昭司郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会四国支部紀事 (ISSN:0915230X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.8-12, 1967-06

1.籾の乾燥効果 試験結果の乾燥効果は顕著で,立毛水稲の籾水分を16〜17%まで下げ得るのは容易に出来る。2.籾及び茎葉の乾燥状況 枯れ上りの熟位は籾,茎葉ともに灰白位となり,稍色状が不良である。3.刈取及び脱穀の難易 散布後日を経るに従い,穂首の垂れ込みを生じ刈取作業が困難となるが,籾水分16〜17%になるには3日程度であるからさほど困難を感じない。脱穀の難易については,一部では穂首の折損,調整に困難な点が見られたが大部分は特に問題は認めない様である。4.気象と乾燥効果 散布後の天候の良否は乾燥効果に影響が大きく,降雨がないか少ない場合は高温下であり効果が顕著であるが曇雨天が多ければ籾水分16〜17%程度になるのにも或る程度時日(4〜5)を要する。しかし降雨があった場合でも一旦水分を吸収して戻るが,天候が恢復した時の乾燥は無散布のものに比し遥かに早く戻る。5.収量に及ぼす影響 散布薬量が多ければ若干減収が認められる。又散布時期も早い場合は若干の減収が認められるが成熟期の2〜4日前処理では殆んど減収は認められたい様である。6.茎葉の利用について ワラの利用については,変色が見られるためワラ加工の利用は稍困難と思われる。又家畜飼料としての利用は今後検討することが必要である。7.薬臭の残存程度 本剤は人畜に対し無害と云われているが一種特有の臭気があり,収穫後も籾及び茎葉に悪臭が残る。しかし籾は玄米になると臭気が無くなり,茎葉も1週間〜10日位で殆んど無くなるようである。8.散布置と散布後の刈取適期 10アール当概ね2〜3kgの散布量で足りる。刈取は天候其の他によるが略々散布後3〜4日目に刈取るのが適当のようである。