- 著者
-
G. Leonardos
D. Kendall
N. Barnard
辻 妙子
西田 耕之助
- 出版者
- Society of Environmental Conservation Engineering
- 雑誌
- 環境技術 (ISSN:03889459)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.8, pp.579-585, 1974-08-18 (Released:2010-03-18)
- 参考文献数
- 4
- 被引用文献数
-
5
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化学工業から発生している臭気を評価するために, 標準化した手順で主要な物質53種を用いて, それぞれのニオイ閾値を測定した.これまでから得られている閾値の値は, 測定法の多様性を反映して著しいバラツキを示しており, これには臭気物質の純度, 測定値の取り扱い, 嗅知覚の定義, 被験者, 他物質の影響, 判定の表現様式などの要因が大きな影響をもつと見られるが, 本実験では, これらの原因にもとつくバラツキを最小にした.バックグランド空気で希釈した臭気物質を満した室内に, よく訓練したオーダーパネルを入れて判定させ, すべてこの観測者がその臭いを認知できた最初の濃度を閾値と定義した.ガスクロマトグラフ法による分取や, 異なった製造過程のものを用いた閾値の測定から各物質の化学的純度の影響をも調べた.各成分の閾値の濃度値は六桁の範囲に及んでおり, トリメチルアミンは最も低く (0.0002/ppm v/v) , 塩化メチレンは214ppm以上となっている.53種のうち, イオウ化合物はppbのオーダーと概して低い閾値を示し, イオウ化合物以外のものについては化学構造や化学作用から, そのニオイ閾値の予測は可能性がきわめて低い.