著者
秋山 由美 齋藤 悦子 榎本 美貴 辻 英髙 近平 雅嗣 吉田 昌史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.721-725, 2013-11-20 (Released:2015-02-18)
参考文献数
13

3種のBordetella 属菌(B. pertussis,B. parapertussis,B. holmesii)の同時検出をコンベンショナルPCR 法で試みた.4 種の挿入配列遺伝子(IS481,IS1001,IS1002 およびhIS1001)を増幅ターゲットとする 4 組のプライマーを混合したマルチプレックス法で,選択的な検出が可能となった.検出限界は 3 種の Bordetella 属菌の各 DNA 濃度として 5fg/μL であった.なお,低濃度のB. pertussis とB. holmesii の確認には,LAMP 法も併用した. 本法を 2012 年度に感染症発生動向調査の定点医療機関から百日咳疑いで搬入された病原体検査の 42 検体(咽頭ぬぐい液 23 件,鼻腔ぬぐい液 19 件)に適用し,12 検体から B. pertussis を検出した.このうち 8 検体は,保育所を中心とする集団発生事例のものである.病原体サーベイランスにおいて,本法は 3 種の Bordetella 属菌の検査を同時にかつ低コストで行うことができた.