著者
服部 春生 樋口 嘉久 辻 雅弘 古庄 巻史
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.127-131, 1998-06-30 (Released:2012-07-17)
参考文献数
9

まれな自己誘発図形過敏てんかんの1例を報告した。現在13歳の女児。けいれんの家族歴はない。6歳より網戸、縞模様等を見つめるとミオクロニー発作をきたすようになった。当初より発作の多くは自己誘発と思われ、10歳以降は明らかに自己誘発のみとなった。これらのミオクロニー発作と2回の全般発作以外の発作型はなく、光過敏発作もなかった。また、図形過敏以外で自然におこる発作もなかった。発作問欠時脳波では全般性棘徐波複合の群発を認めたが、光過敏は明らかではなかった。発作時脳波は全般性多棘波複合の群発であった。神経学的所見、頭部CTには異常を認めなかったが、新版K式発達検査で、認知・適応指数59、言語・社会指数80、全IQ 71と境界域精神遅滞があった。認知・適応指数の低さは、視覚的記憶の不良のためであった。また図形に対する執着的な行動が見られた。バルプロ酸投与により12歳より発作は抑制された。