著者
辻丸 光一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.544-552, 2002 (Released:2002-11-01)

バイオテクノロジーの分野では,ヒトゲノム解読が終了し,現在はタンパク質の構造と機能の解析にステージが移行し,ポストゲノムの時代となった。ゲノム・ポストゲノム研究の進展に伴い,知的財産の重要性が高まっているが,それとともに新たな問題が生じている。ゲノム・ポストゲノム研究では,遺伝子の配列やタンパク質の三次元構造座標データ等の情報が重要であるが,現在の特許制度では保護できない。また,ゲノム情報を用いた医薬品開発(ゲノム創薬)では分業化が進んでおり,これに伴いライセンスの問題もある。本稿では,ゲノム創薬と特許の関係を説明し,新たに生じている問題に言及する。
著者
辻丸 光一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.17-24, 2003 (Released:2003-04-01)

バイオテクノロジーの進歩は医療を大きく変えつつあり,遺伝子治療,細胞治療および再生医療等の先端医療が実用化されようとしている。これらの最先端医療は,従来の医療と異なり,医療技術を開発する企業の役割が重要であり,特にバイオベンチャー企業の役割が大きい。企業の技術開発を保護する手段として特許制度があるが,日本の特許制度は,医薬品や医療機器の特許は認めるものの,医師が行う医療行為そのものを特許の対象としない。これに対しては,産業界を中心として疑問が投げかけられ,医療行為を特許の対象にすることの是非が活発に議論されている。本稿では,先端医療に関する特許の現状を解説するとともに,その問題点についても論及する。