著者
児玉 章 近池 威夫 山口 仁平 愛沢 実
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.225-232, 1968-03-25

目的 抗生物質の工業規模の生産においては, 深部培養工程のスケールアップは最も重要な問題である。我々は放線菌S. kitasatoensisの生産するマクロライド系抗生物質, ロイコマイシンに関するスケールアップの研究を15lのジャーファーメンターと2tタンクを用いて行ない, 撹拌動力とロイコマイシンの生産量について得られた知見を報告する。方法2tタンクの無通気時動力と通気時動力を測定し相関式を求めた。さらにロイコマイシン培養実験結果から生産量とP_v(単位液量当りの通気時動力)の関係を求めた。また酸素移動係数に関しては, Cooperらの方法に基ずき, 生産量とK_vPの関係を求めた。つぎに2tタンクにおける通気量と液深を要因とする培養実験結果から通気量について考察した。結果 1)最小2乗法により求めたP_gとP_oにおいて, P_g=(P_o^2ND_i^3/Q^<0.56>)^<0.40>比例定数KはD_t/D_iにより異なった。2) 15lおよび2tタンクにおいて, ロイコマイシンの最高生産を与える撹拌数は, ほぼP_vを同一にする推定値に一致した。3)しかしながら, 算出した最適K_vP値を等しくした高撹拌低通気, 低撹拌高通気の操作条件では, ロイコマイシン培養は異常経過を示した。4) したがって, 最適通気量は, 撹拌数とは独立に液深と関連するものと推定されるる。