著者
髙橋 萌々子 近藤 千紘 高野 利実
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.134-142, 2017-03-25 (Released:2017-06-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

顆粒球コロニー形成刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)製剤は、骨髄中の好中球前駆細胞に存在するG-CSF受容体に結合し、好中球前駆細胞から好中球への分化を促進することで、末梢血中の好中球数を増加させる。フィルグラスチムのN末端にポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)を結合させ、血中半減期を延長することで作用を持続させた持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチムは、化学療法の副作用の1つである発熱性好中球減少症を有意に抑えるだけでなく、化学療法の治療強度を高めることもできる。PEG製剤の開発により、がん治療が今後さらに発展していくことが期待される。