著者
近藤 和美
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.153-158, 1984-11-15

子どもは,人間社会のなかで,外界の対象とのかかわりを通して,人間として成長していく。この時,外界の対象から得たイメージを記憶のなかのイメージと考え合わせ,推理し,再構成していくことにより,自己を発展させているのではないかと考えられる。本論文では,対象を7枚の絵に限定し,子どもが,それらを一つの物語になるように再構成し,さらに,その絵に即して言語表現するという方法を用いて,子どもが自己発展を遂げる仕組みを明らかにしようとした。そこで,(1)対象を限定し,(2)類をまとめ,(3)それらを関供づけて再構成し,(4)さらに推理していく,というような「場」を想定した。その結果,今回用いた絵で,物語を構成するという課題のもとでは,対象から得たイメージを「限定」し,「類」にまとめるのは,4歳頃から見られ,さらにそれらを「再構成」するのは5歳頃からであることが明らかになった。