著者
安部 治彦 河野 律子 竹内 正明 近藤 承一
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、反射性失神を中心に失神の原因と頻度、就労に関すること、長距離バス運転手の失神状況を分析し、更には失神の治療としての薬物治療と非薬物治療の効果、及び原因疾患の鑑別診断に関する植込み型心電計(ILR)の有用性を調べ、欧州での成績と比較検討した。就労中の失神が原因で辞職する患者は少なくないことが判明した。長距離バス運転手の事故の多くは運転中に失神発作を来していることが原因であることは判明した。ストレスが原因と考えられた。反射性失神の治療として起立調節訓練法は極めて有効性の高い治療法であり、患者自身は自宅で行うことができるため非常に有用な治療法であることが判明した。植込み型心電計は、原因不明の失神患者の鑑別診断に高い有効性を示し、その成績は欧州に比し本邦ではより高い原因疾患の診断率があった。今後本邦での多施設前向き研究が望まれる。