著者
永田 泰史 竹内 正明 大谷 恭子 園田 信成 尾辻 豊
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.343-349, 2019
被引用文献数
2

左室流出路狭窄は時に大動脈弁狭窄症に合併する.しばしば両者の狭窄を分離することができないため,大動脈弁狭窄症の真の重症度を正確に評価することが困難になる.症例は外傷性血気胸で入院となった75歳女性.心エコー図検査により大動脈弁狭窄症と左室流出路狭窄を認めた.ドプラーエコーでは収縮後期をピークとするダガー型の血流波形を認め,左室流出路と大動脈弁を通過する最高血流速度は6.0 m/sであったが,両者の最高血流を分離することが困難であった.正確な大動脈弁狭窄症の重症度評価のため,ランジオロール(短時間作用型βブロッカー)とシベンゾリン(ナトリウムチャネルブロッカー)を用いた負荷心エコーを行い,同時にカテーテル検査により左室圧と大動脈圧を測定した.ランジオロールは無効であったが,シベンゾリンにより左室流出路狭窄は消失した.シベンゾリン負荷心エコー検査により大動脈弁狭窄症の重症度は中等度以下と評価され,適切な治療方針の決定が可能となった.本症例によって,シベンゾリン負荷心エコーは左室流出路狭窄を合併した大動脈弁狭窄症の重症度評価に有用である可能性が示された.
著者
竹内 正明 尾辻 豊 春木 伸彦 西村 陽介
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

老人性大動脈弁狭窄(AS)では僧帽弁狭窄(MS)がしばしば観察される。本研究では、3次元経食道心エコー法により僧帽弁複合体を評価し、弁輪弁尖の石灰化と僧帽弁口面積(MVA)の関連を検討し、大動脈弁置換術後このMSが心血行動態に及ぼす影響を負荷心エコー法により検討した。MVAはAS群で小さく、約1/4の症例は中等度以上のMSを呈し、MVAは、内側弁輪面積、僧帽後尖と弁輪のなす角度に規定されていた。負荷時さらにMSが増悪することはなく、負荷前に比べ負荷後MVAは増大した。負荷時のMVAの増大は血流量増加と比例した。ASに合併するMSは偽性のことが多く、高度でない限りは治療の対象とはならない。
著者
重川 弘宜 竹内 正明 近内 誠登
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.85-90, 1993-02-20

Effects of surfactants, polyoxyethylene nonylphenyl ether and the Silwet L-77, on penetration of propanil through Commelina adaxial epidermis were investigated in terms of concentration and EO molarity of the surfactants and stomatal condition of the epidermis. The initial penetration rates of propanil varied widely. In 70% of the epidermis they were below 70pmol/mm^2/hr. On microscopical observation, most stomata on the surface remained closed throughout the penetration experiment. There was no significant correlation between the initial penetration rates and the number of stomata. The promotive effect of surfactants was high when the initial penetration rate was low, approaching 1 as the rate increased. There was an exponential relationship between the initial penetration rate (X) and the penetration rate (Y) after surfactant addition. The relationship is expressed as, Y=e^a・X^b. Surfactant efficiency to promote penetration was evaluated by two approaches : (i) by substitution and (ii) by plotting coefficients a and b. There was a parabolic relationship between the EO molarity of surfactant and the promotive effect, and surfactant NP(8) was the most effective in enhancing. There was a linear relationship when coefficient b was plotted against coefficient a, and that showed a difference in effectiveness in enhancing penetration among the surfactants. The Silwet L-77 significantly promoted non-pore penetration.
著者
安部 治彦 河野 律子 竹内 正明 近藤 承一
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、反射性失神を中心に失神の原因と頻度、就労に関すること、長距離バス運転手の失神状況を分析し、更には失神の治療としての薬物治療と非薬物治療の効果、及び原因疾患の鑑別診断に関する植込み型心電計(ILR)の有用性を調べ、欧州での成績と比較検討した。就労中の失神が原因で辞職する患者は少なくないことが判明した。長距離バス運転手の事故の多くは運転中に失神発作を来していることが原因であることは判明した。ストレスが原因と考えられた。反射性失神の治療として起立調節訓練法は極めて有効性の高い治療法であり、患者自身は自宅で行うことができるため非常に有用な治療法であることが判明した。植込み型心電計は、原因不明の失神患者の鑑別診断に高い有効性を示し、その成績は欧州に比し本邦ではより高い原因疾患の診断率があった。今後本邦での多施設前向き研究が望まれる。