著者
近藤 日出夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.157-176, 2008-10-20 (Released:2017-03-30)

女子少年による殺人で,最も多いのは今も昔も嬰児殺である.近年,妊娠中絶,できちゃった婚,シングルマザーなど望まない妊娠に対する選択肢が増加したにもかかわらず,女子少年による嬰児殺は横ばいのまま推移し,根絶させるに至っておらず,現在でも女子少年による嬰児殺の背景にある問題は十分に解決されたとはいえない.そこで本稿では,最近5年間に嬰児殺を犯した女子少年について,資質的特徴に基づいて,抑制型,不安定型,未熟型の3つのタイプに分け,それぞれのタイプごとに異性関係の持ち方,家族関係の特徴などから嬰児殺に至る背景要因を分析した.親に過剰な気遣いをするなど,自らの率直な感情表現を抑えがちであったタイプを抑制型,家庭的な問題を背景に情緒面での安定が図られてきていないタイプを不安定型,困難場面における問題解決能力に劣り,状況に依存した受動的な生き方を選択してきたタイプを未熟型とし,分析した結果,タイプごとに妊娠から犯行までの経緯もそれぞれ特徴があることを明らかにした.
著者
近藤 日出夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.33, pp.157-176, 2008-10-20

女子少年による殺人で,最も多いのは今も昔も嬰児殺である.近年,妊娠中絶,できちゃった婚,シングルマザーなど望まない妊娠に対する選択肢が増加したにもかかわらず,女子少年による嬰児殺は横ばいのまま推移し,根絶させるに至っておらず,現在でも女子少年による嬰児殺の背景にある問題は十分に解決されたとはいえない.そこで本稿では,最近5年間に嬰児殺を犯した女子少年について,資質的特徴に基づいて,抑制型,不安定型,未熟型の3つのタイプに分け,それぞれのタイプごとに異性関係の持ち方,家族関係の特徴などから嬰児殺に至る背景要因を分析した.親に過剰な気遣いをするなど,自らの率直な感情表現を抑えがちであったタイプを抑制型,家庭的な問題を背景に情緒面での安定が図られてきていないタイプを不安定型,困難場面における問題解決能力に劣り,状況に依存した受動的な生き方を選択してきたタイプを未熟型とし,分析した結果,タイプごとに妊娠から犯行までの経緯もそれぞれ特徴があることを明らかにした.
著者
近藤 日出夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.134-150, 2009

本研究は,発達的背景と問題行動歴に着目して,殺人を犯した男子少年の類型化を試みるとともに,殺人に至る機制の違いなどを明らかにすることを目的とした.2001年から2006年までの5年間に,殺人を犯して少年鑑別所に収容された男子少年73人を分析の対象とした.彼らが発達過程のどの時期に,どのようなリスク要因等を被ってきたのかを,家庭環境,学校場面,問題行動歴などの領域ごとに調査し,そのデータに潜在クラス分析を適用することによって,殺人少年の類型化を試みた.分析の結果,外在化型,内在化型,遅発型の3類型を導き,それぞれの発達経路なども踏まえて,その特徴を明らかにした.外在化型は早期から窃盗や暴力などを繰り返していたグループであり,不良交友関係を背景とした集団による殺人が多かった.内在化型は,家庭や学校場面における不適応状態が慢性化していたグループであり,単独犯や親族殺が多かった.遅発型は,本件直前までは何とか表面的な適応状態を維持できていたグループであるが,集団追従的又は状況圧力に耐え切れずに本件に至る場合が多かった.
著者
近藤 日出夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.134-150, 2009-10-20 (Released:2017-03-30)

本研究は,発達的背景と問題行動歴に着目して,殺人を犯した男子少年の類型化を試みるとともに,殺人に至る機制の違いなどを明らかにすることを目的とした.2001年から2006年までの5年間に,殺人を犯して少年鑑別所に収容された男子少年73人を分析の対象とした.彼らが発達過程のどの時期に,どのようなリスク要因等を被ってきたのかを,家庭環境,学校場面,問題行動歴などの領域ごとに調査し,そのデータに潜在クラス分析を適用することによって,殺人少年の類型化を試みた.分析の結果,外在化型,内在化型,遅発型の3類型を導き,それぞれの発達経路なども踏まえて,その特徴を明らかにした.外在化型は早期から窃盗や暴力などを繰り返していたグループであり,不良交友関係を背景とした集団による殺人が多かった.内在化型は,家庭や学校場面における不適応状態が慢性化していたグループであり,単独犯や親族殺が多かった.遅発型は,本件直前までは何とか表面的な適応状態を維持できていたグループであるが,集団追従的又は状況圧力に耐え切れずに本件に至る場合が多かった.