著者
安部 和夫 佐藤 尚司 里井 明子 近藤 晴彦
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.87-91, 2016 (Released:2016-09-03)
参考文献数
9

エホバの証人は輸血拒否の姿勢が特徴的であるが特に心臓血管手術では大きな問題である。今回我々は2001年から2015年までの間に人工心肺下に46例のエホバの証人の心臓血管手術を経験したので報告する。手術の内訳は冠動脈バイパス術3例,弁疾患手術22例,大血管手術19例,心室中隔穿孔手術2例であった。予定手術31例,緊急手術15例であった。手術中の最低ヘモグロビン値は6.1±2.0 g/dL,術後の最低ヘモグロビン値は6.7±2.0 g/dLであった。術後24時間以内の死亡例は2例であった。我々は全症例において赤血球濃厚液,凍結血漿,血小板のいずれも輸血しなかった。