著者
近藤 智善 石口 宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.1621-1626, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

不随意運動は本人が意図しないで,あるいは本人の意図と反して身体の部分になんらかの運動や姿勢(肢位)の異常が生じることをいい,運動の態様によって既知の症候上の用語をあてはめて呼称する.薬剤によって誘発される不随意運動はジスキネジアと一括されるが,具体的な不随意運動のタイプは振戦,ミオクローヌス,舞踏病,チック,ジストニー,アテトーゼ,バリスム,アカシジア(静坐不能),など様々である.診断を考える際にはまず器質性病変をもった疾患を除外する立場が大切であるが,薬剤性不随意運動は様々な薬剤で生じるため,なんらかの薬剤を服用している場合には,薬剤性のものも鑑別に加える必要がある.
著者
近藤 智善 広西 昌也
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.629-633, 2000-04-10

振戦は安静時振戦,姿勢時振戦,企図振戦,動作時振戦に区別される.小脳性協調運動障害の現れと解される動作時振戦や代謝異常による振戦を除いて,小脳歯状核・赤核・視床を結ぶ経路のどこかの障害で振戦のリズムが発生し,振戦の性状の違いは筋トーヌスの差によるとの説がある.パーキンソン病の振戦と本態性振戦に対する薬物治療以外は特異的な内服療法はなく,視床Vim核の定位的破壊術の適用が考慮される症例がある.