著者
近藤 美麻 伊藤 健吾 千家 正照
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.395-402, 2013-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
27

新規に造成されたビオトープ池への魚類の移動に伴うイシガイの定着と再生産に着目し,それに寄与した宿主魚種を検討した.イシガイの宿主として適性をもつ魚種を明らかにするために行なった寄生実験では,対象とした12魚種のうち6魚種から稚貝が得られた.そのうち寄生幼生の稚貝への変態率はオイカワおよびヨシノボリ類で高く,それぞれ95.3%と88.1%であり,他の魚種では5%に満たなかった.また,過去に行なわれたビオトープ池におけるイシガイ幼生の寄生状況およびイシガイと魚類の生息状況の調査結果より,オイカワは現地における幼生の平均寄生数と寄生率も高く,生息数も多い魚種であったことから,ビオトープ池においてはオイカワが主な宿主としてイシガイの定着と再生産に寄与したと考えた.
著者
近藤 美麻 伊藤 健吾 千家 正照
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.117-123, 2011-04-25 (Released:2012-04-25)
参考文献数
9

2008年5月から10月にかけて岐阜県に位置するビオトープ池と隣接排水路,その間に設置された魚道において魚類を採捕し,イシガイ類幼生の寄生状況を調査した.その結果,イシガイ類幼生の主な寄生主は,イシガイおよびトンガリササノハガイではオイカワ,ドブガイおよびマツカサガイではヌマムツであった.また,魚道において採捕した魚類のうち,ビオトープ池から排水路への降下魚と排水路からビオトープ池への遡上魚におけるイシガイ類幼生の寄生状況を比較した結果,遡上魚よりも降下魚において平均寄生数が大きく,かつ,寄生幼生の総数も多い結果となり,ビオトープ池がイシガイ類の繁殖場所としての機能を持ち,周辺水域への分布域の拡大や個体数維持に貢献していることが示唆された.