著者
近藤 達敏
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.340-345, 2000-02-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

トンネル工事における工事費の増大や工事期間の遅延など難航の原因となる地質事象の有無を地質調査によって的確に予想することは土木地質における重要課題の一つである. しかしながら, 事前の地質調査の予想が実際と大きく異なりトンネル工事が難航する場合が多い. 地表地質踏査を主とする土木地質調査は, 野外やボーリングあるいは調査横坑などの地質露頭の観察に基づく帰納法的手法を主とするが, わが国における地質構造の複雑さと表土層や風化層の厚い条件のために必要な精度と分解能を有する地質図の解を一義的に求ることはきわめて困難と言える. 本論においては, トンネルにおける地質調査の主たる目的がリスク要因の評価ならびに地盤物性の評価にあることを明らかにし, 地質調査の的中精度を高めることを目的とした帰納的最適化地質調査法を提案している.