著者
近藤 雪絵 木村 修平 山中 司 山下 美朋 井之上 浩一
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2020-011, 2020 (Released:2020-10-16)
参考文献数
10

立命館大学薬学部ではディプロマ・ポリシーにおける教育目標の一つである「国際社会でも活躍できる英語での情報収集・発信能力」を涵養するため,「プロジェクト発信型英語プログラム」(Project-based English Program: PEP)を導入し,専門英語を含む英語科目を系統的に配置している.本稿では,専門性の高い領域での英語発信力を育成するために,専門教員と英語教員がどのようにコラボレーションできるかを,専門教員,専門知識を持たない英語母語話者,社会人による学生のプレゼンテーションの評価分析を元に論じた.専門教員はテーマの絞り込みや深め方,英語教員は成果を広く発信する際にどう社会に関連させ伝えるかという点でアドバイスを行い,学生自身がその中で自分の意見をさらに深めるという協同が実現することにより,発信力を “I(自身)”,“Me(客観的に捉えた自身)”,“Connection(自身と他者あるいは社会とのつながり)” の観点から涵養できるという示唆が得られた.
著者
近藤 雪絵 布目 真梨 天ヶ瀬 紀久子 細木 るみこ
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.2022-026, 2022 (Released:2022-09-28)
参考文献数
15

好奇心から大麻を使用する若者が増えている.大麻や乱用薬物に関する大学生の意識調査はこれまでに実施されているが,大麻の形態が多様化する一方で,CBD(カンナビジオール)製品に関する意識調査は十分ではない.本稿では,薬学生を対象に,大麻・CBD製品に対する意識調査を実施した.その結果,大麻の違法性の認識は高かったが,CBD製品は認知が低く,漠然と大麻の類似物だと捉えられていることがわかった.また,薬学生の取るべき行動の意識を分析した結果,「正しい知識の取得と伝達」「違法薬物の乱用と勧めの拒絶」「薬学分野における積極的な学び」「薬学専門家としての薬の扱い」「大麻の危険性と医療利用の理解の深化」が抽出された.これにより,薬学部では,社会的・法的規範の観点に加え,薬物乱用防止の指導を専門性の高い授業に関連付け,学生が抱く現在から将来へのビジョンの中に指導を取り入れることが肝要であると考えられる.
著者
角本 幹夫 近藤 雪絵 服部 尚樹
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-067, 2021 (Released:2021-11-12)
参考文献数
10

立命館大学薬学部では,低学年時の英語教育で身につけた英語力を現場で実践する機会と5年生時に行われる薬局・病院実務実習の発展学習の機会として,2週間の海外留学プログラム「薬学海外フィールドスタディ―Toronto Clinical Training Program―」を実施している.この留学プログラムは,カナダのトロント小児病院,トロント大学薬学部において行われる.留学プログラム実施後に行った参加学生へのアンケート結果から,プログラムの評価を行った.今回の調査では教育効果に対する評価を行うことはできなかったが,プログラムの改善点として,事前学習としてリスニング力の向上,小児疾患の病態・薬物治療に関する学習の必要性が挙げられた.また,専門領域の学びの理解度,教員同行による学習への影響についての調査が今後必要であると考えられた.現地研修の中で,日本とカナダの薬剤師比較を実感できる病棟研修については,学生の期待に十分に応えた内容であった.