- 著者
 
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             逢坂 巌
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 日本選挙学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 選挙研究 (ISSN:09123512)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.26, no.2, pp.44-59, 2011 (Released:2017-06-12)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 10
 
          
          
        
        
        
        2009年総選挙におけるテレビの選挙報道を振り返ると,報道時間は少なかったものの,マニフェストが多く採り上げられていたということがわかった。しかし,マニフェスト報道で採り上げられていた争点が,民主党が設定したものに近似していたこと,また,政策が「全体像」においても個別争点においても厳しく問われず,取材VTRに写る困窮する人々の姿(イメージ)が中心的に伝えられたことで,結果として,報道全体が民主党のパブリシティに化していた。民主党は,テレビの議論においても政権獲得後の「全体像」を正面から問いかけることはなく,CMでは人々の「不安」や「不満」に訴えるキャンペーンに回帰した。それは流動化する選挙市場への適合という面もあったが,選挙後の政策の「引渡」の段階での困難を準備するものだった。