著者
佐々木 紀典 川津 邦雄 堤 貞衛 儀同 政一 中川 弘子 柏原 嘉子 松木 玄二 遠藤 博子
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.227-235, 1998-01-30 (Released:2008-02-26)
参考文献数
9
被引用文献数
1 3

カービル療養所から5回にわたり取り寄せたアルマジロ全頭20匹を、われわれ研究チームで飼育し、感染ヌードマウスより採取したらい菌で感染実験を行った。感染は10 8-9即の大量菌を静脈内及び皮下に接種の15匹と対照として非接種の5匹に分けた。菌液接種後最短7.5か月、最長34か月の期間に死亡した9匹と屠殺6匹を剖検し、スタンプ標本と病理標本を作成し検索した。結果2匹のみが軽度の感染状況に止まったが、その他は生存期間の長短には関係なく、いずれも重度広汎な感染の進展が観察された。臓器では静脈内と皮下接種のいずれにおいても、肝、脾に顕著な菌の増殖と病巣の進展拡大が確認され、その他、肺、副腎、リンパ節、胃、骨髄、腎、鼻等に菌の分布と浸潤性病巣が見られた。皮膚病巣は接種局所は勿論のこと、遠隔部の皮膚にも病変が見られ、ことに足底部における浸潤性病巣が明らかであり、その部位における末梢神経の病変は大腿部坐骨神経よりも顕著であった。しかしヒトの場合と異なり、末梢神経内の病巣は軽度であり、アルマジロでは頭部の甲羅下の組織に広汎な病巣を観察したが、精巣には病巣が見られないが、胃、肺、腎には病巣がみられるなど、ヒトとはやや異なる様相を呈し、動物種の特異性が考えられるので、アルマジロらいとして理解した方が良いと考えられる。しかし、ハンセン病との間に極めて高い類似性が示された。特に末梢神経病変の機序の解明などには実験価値が高いと考えられる。なおこの研究は厚生省特別研究費を受けて行われた。