著者
遠藤 宣子 小野川 傑 奥田 俊郎
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1608-1614, 1992

血清補体値が低下した宿主の初期の感染防御反応に於ける肝臓以外の組織での補体産生の役割を明らかにするために, ニュージーランド・ブラックとホワイトの一代交配・雌 (B/WF1) マウス (5, 15, 35および48週齢) の補体産生状況を, 腹腔から採取した固有マクロファージの単層培養細胞 (PMφ) を用いて調べた.単層培養細胞による補体第一成分の亜成分, Clq, の産生は, 5週齢マウスに比べて15週齢で顕著な低下 (p<0.01) を示した後, 35週以降有意 (p<0.01) に増大し, 48週齢においては5週齢の量を上回る増加を示した.35週齢と48週齢で認められた単層培養細胞のClq産生の増大は, 血清Clq値の顕著な低下と血清中への抗核抗体および尿タンパクの出現と一致した.一方, 対照のddY系マウスの単層培養細胞によるClq産生は, 5週齢でB/WF1マウスの2倍を示したが, 15週齢にはその1/2値まで低下, その後もその値を維持する傾向にあった.血清Clq値はこれとは逆に, 5~35週齢まで変化せず, 48週齢で5週齢値を越える著しい増加を示した.<BR>B/WF1マウスのPMφ におけるClq産生は, ddY系マウスと異なり, 老齢期に増加した.血清Clq値の低下時に認められたこの増大は, 血清補体価の低下した宿主の感染防御に重要な役割をしていることを示唆している.