著者
佐々木 達也 亀田 雅博 冨田 陽介 細本 翔 林 裕美子 遠藤 文香 岡 牧郎 冨田 祐介 安原 隆雄 上利 崇 小林 勝弘 伊達 勲
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.317-322, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
16

症例は側頭葉てんかんを発症した13歳男児. 頭部MRIで右側頭葉内広範囲, 基底核, 深部白質, 側脳室内などに多発する病変を認め, さらに経時的に造影病変は変化した. Fluorodeoxyglucose-positron emission tomography (FDG-PET) で悪性を示唆する所見はなく, subtraction ictal single-photon emission computed tomography coregistered to MRI (SISCOM) と発作時脳波で右側頭葉が発作焦点であると判断し, 一期的に右側頭葉切除を行った. 病理学的診断はdysembryoplastic neuroepithelial tumorであった. 現時点で術後半年経過したが, 発作は消失し, 残存病変についても増大していない. 多発性DNTは非常にまれであり, 変化に富む画像所見とあわせて, 治療方針の決定に難渋した. 本症例はてんかんの治療目的に手術を行ったが, 複雑な病態であっても, 治療目的を明確にし, それに応じた検査, 手術を行うことが重要である.