著者
Masaki Komiyama
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.488-495, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
40
被引用文献数
3 12

A thorough knowledge of the functional vascular anatomy of the brain is becoming increasingly required in neuro-interventional procedures. Similarly, this knowledge is also required in neurosurgery, especially when a particular artery or vein is to be sacrificed during surgery. Permanent occlusion of a major artery can be challenged by a balloon occlusion test, but for venous sacrifice, such a procedure is practically not applicable. Up to now, reliable methods to judge the safety of such destructive procedures were lacking. Knowledge of the basic angioarchitecture of the cerebral veins, in other words, the “functional anatomy of the cerebral veins” may help us to better understand the safety or risk of sacrificing cerebral veins. Today, 3D-CT angiography, digital subtraction angiography and cone-beam CT provide detailed information on the precise cerebral venous anatomy to help us understand the functional venous anatomy and to make informed decisions.
著者
塩見 直人 平泉 志保 野澤 正寛 岩田 賢太朗 松浦 潤 越後 整
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.629-636, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1

CT設置数が多い日本において有用な軽症頭部外傷のCT施行基準を検討した. 成人はGCS 14であればCT必要, 次いで年齢が60歳以上, または何らかの症状があればCT必要とする. これらに該当しなかった場合は, 頭部の外傷所見があるか, 危険な受傷機転と判断した場合をCT推奨とする. 小児は①GCS 14, ②精神状態が普段と異なる (いつもと様子が違う), ③頭蓋骨骨折が触知できる, のいずれかに該当した場合をCT推奨とする. それ以外では, 2歳より上と2歳以下で基準を分けて設定し, なるべくCTを施行せずに入院して経過観察を行う. 放射線被曝の影響が危惧される小児では, MRIを活用したプロトコールも検討すべきである.
著者
長谷川 良平
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.497-503, 2016 (Released:2016-06-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

近年, 「脳を理解する」ための基礎科学であるニューロサイエンスの成果に基づいて「脳を活用する」ためのさまざまな技術を開発するニューロテクノロジーの開発が盛んになってきている. 中でも注目されているのが, 脳と機械を直結する「ブレイン-マシン インターフェース」 (brain-machine interface : BMI) 技術である. 著者の研究グループでは認知機能にアクセスするBMIの一種として脳波による意思伝達装置「ニューロコミュニケーター」の試作開発に成功した. 現在, この装置の福祉機器としての実用化に向けて試作と実証実験のサイクルを加速させている.
著者
菱川 朋人 伊達 勲
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.758-763, 2022 (Released:2022-12-25)
参考文献数
22

頭蓋内血管狭窄病変は多様な病態に起因する. 動脈硬化性病変において抗血栓療法, 抗動脈硬化治療の進歩は内科治療の成績向上をもたらしている. バイパス術においては定量的脳血流評価と低い周術期合併症率が重要である. もやもや病では虚血型, 出血型ともに新たな知見が報告され手術適応がより具体化される可能性がある. 脳卒中治療ガイドライン2021では小児の脳血管障害の項が新設されている. Focal cerebral arteriopathyはガイドラインにも記載されており, 小児の動脈性虚血の原因として重要である.
著者
澤田 佳奈 玉置 正史 橋本 秀子 唐鎌 淳 佐藤 洋平 原 睦也 戸根 修
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.62-68, 2016 (Released:2016-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

症例は65歳女性で歩行障害と認知機能障害を主訴に来院した. 単純MRIで右前頭側頭葉に腫瘍性病変を認め, 造影MRIでは, わずかに腫瘍辺縁と内部が隔壁状に造影されるのみであり, 髄膜腫に典型的な所見ではなく, また髄膜種に特徴的なdural tail signなどもみられなかった. 開頭腫瘍摘出術を施行しmicrocystic meningiomaと診断した. Microcystic meningiomaの中にはその画像所見が一般的な髄膜腫の画像所見と異なるものがあり, 術前に髄膜腫と診断できないことも多い. 本症例にみられる特徴的な造影MRI所見であるfaint reticular patternがmicrocystic meningioma術前診断の鍵となることがあり, 認知しておくべきものと考える.
著者
宮本 享 髙橋 淳 舟木 健史
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.52-58, 2016 (Released:2016-01-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

出血発症もやもや病の自然予後は不良であり, 再出血率は年間約7%と非常に高い. 「頭蓋内外バイパス術が出血発症成人もやもや病の再出血リスクを減少させる」という仮説を検証する目的で, 多施設無作為比較試験であるJapan Adult Moyamoya Trial (JAM Trial) が行われ, 手術群で有意にエンドポイント発生率が低く, 再出血率が1/3に低下することが示された. JAM Trialの結果は出血発症もやもや病に対する直接バイパス術の有効性を支持する一方, この結果は厳格な患者登録基準のもと, 高度の周術期管理下に達成されたものであり, 臨床上は慎重な手術適応の検討が望まれる.
著者
川堀 真人 藤村 幹
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.154-158, 2022 (Released:2022-03-25)
参考文献数
12

脳梗塞, 外傷性脳損傷, 脊髄損傷など多くの中枢神経疾患に対して幹細胞を中心とした細胞治療が基礎的研究の段階を経て, 臨床研究の段階へと入ってきている. 一部では少人数での安全性・有効性をみるearly phaseの治験の成功を踏まえ, 比較的大人数のlate phaseの治験へと移行しつつあり, その後の上市や保険承認など産業化への道筋が見えてきている. 本発表では, 中枢神経疾患に対する幹細胞の特徴・作用機序を概説し, その後, 最近報告された運動機能障害を有する慢性期頭部外傷に対する遺伝子改変他家骨髄由来幹細胞 (SB623) の安全性と有効性に関する研究 (StemTra研究) の結果について報告する.
著者
神田 知紀
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.776-781, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

ガドリニウム造影剤は一般的に用いられるMRI造影剤である. ガドリニウムは強い毒性をもつため, ガドリニウム造影剤は投与後すぐに排泄されるように設計されている. ところが, 近年ガドリニウム造影剤が脳内に残留することが画像所見から明らかになり, ガドリニウム造影剤の安全性が揺るがされている. しかも体内に残留するガドリニウム量は市販されている造影剤間でも異なり, 造影剤間の格差が生じている. 現時点までの知見および安全性の考え方について概説した.
著者
佐々木 達也 亀田 雅博 冨田 陽介 細本 翔 林 裕美子 遠藤 文香 岡 牧郎 冨田 祐介 安原 隆雄 上利 崇 小林 勝弘 伊達 勲
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.317-322, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
16

症例は側頭葉てんかんを発症した13歳男児. 頭部MRIで右側頭葉内広範囲, 基底核, 深部白質, 側脳室内などに多発する病変を認め, さらに経時的に造影病変は変化した. Fluorodeoxyglucose-positron emission tomography (FDG-PET) で悪性を示唆する所見はなく, subtraction ictal single-photon emission computed tomography coregistered to MRI (SISCOM) と発作時脳波で右側頭葉が発作焦点であると判断し, 一期的に右側頭葉切除を行った. 病理学的診断はdysembryoplastic neuroepithelial tumorであった. 現時点で術後半年経過したが, 発作は消失し, 残存病変についても増大していない. 多発性DNTは非常にまれであり, 変化に富む画像所見とあわせて, 治療方針の決定に難渋した. 本症例はてんかんの治療目的に手術を行ったが, 複雑な病態であっても, 治療目的を明確にし, それに応じた検査, 手術を行うことが重要である.
著者
原田 敦子
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.432-437, 2021 (Released:2021-06-25)
参考文献数
23

小児水頭症の治療目標は, 正常な成長・発達を目指すことであり, 将来を見据えて手術適応や手術方法を選択しなければならない. 2014年に小児水頭症ガイドラインが発表され, 2020年に見直しが行われた. 抗生剤含浸カテーテルのエビデンスレベルが3から1になったこと, 出血後水頭症に対する治療として内視鏡下脳室内洗浄がレベル3のオプションとして加わったことが改訂点である. 本稿では患児にとって最適な治療方法を選択し, 合併症のない安全な手術が行えるように, ガイドラインを中心とした最新のエビデンスと著者の経験から最良の手術とデバイスについて考察する.
著者
長久 功 花北 順哉 高橋 敏行 南 学 北浜 義博 尾上 信二 紀 武志 伊藤 圭介
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.133-137, 2009-02-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

Cervical anginaは,何らかの頚椎近傍の病変に由来する狭心症様発作性前胸部痛と定義されている.今回われわれは,非特異的前胸部痛に対して頚椎手術で症状が改善した症例を経験したので,前胸部痛の発生機序と臨床症状の特徴,治療方法について報告する.症例は72歳女性,不安定性を伴った頚椎症性脊髄症で,経過観察中に前胸部痛が出現したが,心疾患由来のものが否定された.後方アプローチによる治療を行った結果,前胸部痛が改善した.前胸部痛の直接的原因は,C3-4間での不安定性に伴ってC3-7間で髄内への圧迫が増強し,頚椎症性脊髄症を引き起こしたためと考えた.頚椎症の症状を伴い前胸部痛が誘発される場合は,cervical anginaを念頭に置いた頚椎,頚髄の検査が重要である.
著者
舟木 健史 髙橋 淳 宮本 享 JAM Trial Group
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.149-155, 2019 (Released:2019-03-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

出血型もやもや病の自然予後は不良であり, 再出血予防は最大の臨床的課題である. 出血型もやもや病に対する無作為比較試験であるJAM Trialは, 直接バイパスが再出血予防に有効であることを証明した. そのサブグループ解析により示された, 後方出血群の高い再出血率は, 本症特有の脆弱側副路である脳室周囲吻合により説明される. 解剖学的に最も後方に位置する脈絡叢型吻合 (choroidal anastomosis) は, 再出血の強力な予測因子であり, 特に注意すべき脆弱血管である. 一方, 非出血例において脈絡叢型吻合の発達が, 将来の新規出血の要因かどうか, 介入が必要か否かについては不明であり, 次の10年で明らかにすべき疑問と思われる.
著者
木下 学 金村 米博 成田 善孝 貴島 晴彦
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.4-10, 2022 (Released:2022-01-25)
参考文献数
15

神経膠腫診療における放射線画像の役割は大きく, 放射線画像で神経膠腫の分子診断を行おうとする研究は年々盛んになっている. 本稿では直近10年でこの分野においてどのような研究成果があったのかを①神経膠腫のradiomics研究, ②T2-FLAIR mismatch signの発見, そして③定量的MRIへの期待という3項目に分けて説明し, 神経膠腫の放射線画像による質的診断がどのように発展してきたか, あるいは現状ではどのような問題点が指摘できるのかについて理解することをめざす.
著者
末廣 栄一 石原 秀行 藤山 雄一 清平 美和 土師 康平 野村 貞宏 鈴木 倫保
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.614-620, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
4 4

日本の頭部外傷患者の高齢化は年々進行しており, われわれはこの超高齢社会を見据えた独自の治療方針を確立しなければならない. 急性硬膜下血腫や遅発性の症状増悪が高齢者頭部外傷には多くみられるが, 近年注目されているのは抗血栓薬内服患者の増加である. 日本頭部外傷データバンク/プロジェクト2015によると, 高齢者の31%が抗血栓薬を内服していた. さらにこれらの患者の特徴として, 低エネルギー外傷 (転倒・転落) による受傷機転が多く, 病態として出血性病変が多く, 経過としてはtalk & deteriorateの頻度が多いことがわかった. この状況への適切な対応は, 軽症であっても早期に頭部CTを撮影し, 出血性病変を認めた際は抗血栓薬の中和を考慮することである.
著者
長谷川 光広
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.419-429, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
34
被引用文献数
9 5

眼窩内腫瘍はまれな疾患でありながら, 多種多様な病理学的特徴を含み, 病変の性質により治療方針は大きく異なる. 炎症性疾患やリンパ増殖性疾患 (特に最近注目されるIgG4関連疾患, MALTリンパ腫など) の鑑別と悪性度判定に生検は必須であり, その他の腫瘍性疾患には腫瘍摘出のみならず眼窩内容廓清術に至るまで多岐にわたる手術法がある. 経眼窩的, 経頭蓋的アプローチに加えて, 近年, 進歩の目覚ましい神経内視鏡下手術や頭蓋底手術を含めた各手術法の利点, 欠点を十分理解することが重要である. 全摘出を目指すべき疾患には, 病理学的には血管病変 (血管腫, 静脈瘤など), 良性 (髄膜腫, 神経鞘腫など) ならびに悪性腫瘍 (癌腫, 肉腫, 転移など) が挙げられる. また, 頭蓋内から眼窩に伸展するもの, 副鼻腔・鼻腔, 側頭窩, 下窩などから眼窩に伸展するものなど, 眼窩内外に主座を置く腫瘍では, 他科との協力が重要となる. 経頭蓋法では, 眼窩縁, 眼窩壁の骨形成的除去, 上眼窩裂, 視神経管の開放などの頭蓋底手術手技に加え, 機能的および美容的な手技も多々含まれる. 本稿では, 筆者の111例の眼窩ならびに眼窩伸展腫瘍性疾患の経験から代表的手術症例を提示し, 実際の眼窩内腫瘍の診断と摘出術における留意点を述べる.
著者
新田 雅之 小森 隆司
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.782-791, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

世界保健機関 (WHO) 脳腫瘍分類 (Classification of Tumors of the Central Nervous System) は1979年の初版以来, 診断技術の進歩に伴い改訂を重ね, 2016年に第4版の改訂版が出版された. 本改定では浸潤性神経膠腫および胎児性腫瘍に初めて分子分類が取り入れられ, 古典的組織分類から分子遺伝学的分類へと病理診断の概念が大きく変更された事実上の第5版といえる. これは腫瘍の定義をできるだけ厳密にして客観性を高めるという方針に基づくもので, 遺伝子解析ができない場合や診断根拠が曖昧な腫瘍はNOS (not otherwise specified) を付与した記述に留めることになった. したがって多くのNOS診断を生み出す問題点も生じている.
著者
末廣 栄一 河島 雅到 松野 彰
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.159-164, 2022 (Released:2022-03-25)
参考文献数
28

日本社会の高齢化は急速に進行しており, 抗血栓療法の重要性は増している. 虚血性疾患における抗血栓薬の有効性は知られているが, 多種類の抗血小板薬や抗凝固薬の中から何を選択するのか, 抗血小板薬2剤併用療法などオプション治療の適応, さらに投与のタイミングや期間について選択の幅が拡がっており, 抗血栓薬に関する広い知識が求められる. 抗血栓療法には出血性合併症のリスクも伴う. まずは, リスクを減らす投与方法が重要である. また, 合併症の発生時には, 抗血栓療法の中止や中和療法を含めた適切な対応で合併症状を最小限に抑制しなければならない. 本稿では, 抗血栓薬の効果と安全性についてエビデンスを中心に再整理する.
著者
篠山 隆司 田中 一寛 長嶋 宏明
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.11-19, 2022 (Released:2022-01-25)
参考文献数
34

膠芽腫はいまだ生存期間中央値が約2年と悪性脳腫瘍の中で最も予後不良の疾患である. 膠芽腫の治療は大きく分けて手術, 放射線療法, 化学療法の3つに分けられる. 手術に関しては造影部位の全摘出が推奨されるが, 機能予後を十分考慮して摘出する必要がある. また, 化学療法はテモゾロミドとベバシズマブがあるが, ベバシズマブの投与時期, 投与方法についてはまだまだ議論の余地がある. 一方, 放射線治療については高齢者では短期照射が推奨され, 現在日本国内では医師主導試験が行われている. その他, 術中光線力学療法, novo-TTF, ウイルス療法など, 新しい治療法が登場している.