著者
横田 泰佑 遠藤 新大
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.383-388, 2017-07-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
49

遊離皮弁は,頭頸部癌・外傷・熱傷患者などの再建術で使用される。皮弁のモニタリングのために,術後はICUへの入室を要する。主な術後合併症は,血栓症・血腫・瘻孔・皮弁壊死であり,術後合併症の発生を認識するために,数時間おきに皮弁の評価を行う必要がある。皮弁の評価は,術後72時間行うことを推奨する報告もあるが,本邦で皮弁のモニタリング目的のみでICUに在室するのは難しいと思われる。遊離皮弁は機械的圧迫により血栓症が発生する可能性があり,安静を保つ必要がある。しかし,興奮と譫妄により安静を保てない可能性がある。現在,遊離皮弁に関する文献の多くは,後ろ向き観察研究であり,今後はランダム化比較試験が課題である。本稿では,ICU管理に必要な遊離皮弁の基本的知識について解説するとともに,問題点を考察する。
著者
小林 秀嗣 内野 滋彦 遠藤 新大 岩井 健一 齋藤 敬太 讃井 將満 瀧浪 將典
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.609-615, 2012

【目的】急性肺傷害に対するシベレスタット投与は,欧米での研究で長期予後の悪化が示された。当施設は2007年より使用を原則中止し,今回この治療方針の変更が敗血症性急性肺傷害の予後に影響していないかを検証した。【方法】2007年1月前後21カ月間に,敗血症性急性肺傷害の診断で24時間以内に人工呼吸を要した成人ICU症例を前期群64例,後期群36例で比較した。【結果】両群の患者背景に差はなかった。シベレスタットは前期群54例(84.4%),後期群4例(11.1%)に使用された。28日ventilator free days,ICU滞在および入院期間,院内死亡率に有意差はなかったが,人工呼吸期間は後期群で有意に短かった。院内死亡率に対する多変量解析では,前期群に比べ後期群のodds ratioが0.269(<I>P</I>=0.028)であった。【結論】シベレスタット使用中止で敗血症性急性肺傷害の予後は悪化しなかった。