著者
渡部 顕 大田 貢由 諏訪 雄亮 鈴木 紳祐 石部 敦士 渡邉 純 渡辺 一輝 市川 靖史 平澤 欣吾 田辺 美樹子 遠藤 格
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.61-67, 2015 (Released:2015-01-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

【はじめに】神経内分泌腫瘍は2010年のWHO分類からKi67と核分裂像によりNET G1,NET G2,NECに分類された.カルチノイドはNET G1,内分泌細胞癌はNECと考えられているが,今回より加わったNET G2を含めて,未だ不明な点が多い.【方法】2000年1月~2013年6月に当教室で治療した大腸腫瘍3,090例のうち,神経内分泌腫瘍と診断された症例を対象とし,臨床病理学的因子および施行治療,予後を評価した.NET G1のリンパ節転移の有無と腫瘍径,リンパ管侵襲,静脈侵襲との関連を検討した.【結果】対象は102例(NET G1,NET G2,NEC,MANEC=88,4,6,4)腫瘍径の中央値(mm)はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=7,19,47,22.リンパ節転移率はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=11%,75%,83%,50%.遠隔転移率はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=0%,50%,83%,0%.5年生存率はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=94.5%,37.5%,16.7%,100%.NET G1は腫瘍径1-6mm,7-9mm,10mmでリンパ節転移率が0%,13%,33%.リンパ管侵襲陽性症例の半数にリンパ節転移を認めた.【結語】大腸神経内分泌腫瘍に関するWHO 2010分類は悪性度を反映し,予後をよく層別化し,NET G2,NECは予後不良であった.NET G1は腫瘍径10mm以上もしくはリンパ管侵襲陽性が追加外科切除の適応と考えられた.
著者
澤田 雄 秋山 浩利 松山 隆生 和田 朋子 遠藤 格
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.1027-1031, 2012-09-30 (Released:2013-01-08)
参考文献数
25
被引用文献数
1

急性虫垂炎術後のSSIは最も頻度の高い合併症であり,患者QOLの低下や入院期間延長などの医療経済的な側面にも影響を与える。本稿では,急性虫垂炎術後のSSI予防に関する文献について概説し,あわせて当教室および関連病院で行われた急性虫垂炎手術症例のSSIについて報告する。これまでに虫垂切除後のSSI予防に関して,予防的抗菌薬,創縁保護器,吸収糸の使用,腹腔鏡の使用,二期的創閉鎖などが報告されている。われわれの検討では,切開部SSIのリスク因子は,切開法,腹腔内ドレーンの留置,虫垂の炎症所見の3因子であり,臓器/体腔SSIのリスク因子は,出血量,腹腔内ドレーンの留置の2因子であった。壊疽性虫垂炎はSSI発生頻度が高率であったが,創縁保護器の使用によりSSI発生は減少する傾向を認めた。SSI発生高危険群である壊疽性虫垂炎に対して,今後SSI予防策のさらなる研究が必要である。