著者
田口 栄一 小林 靖 都築 秀典
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001731, (Released:2022-07-22)
参考文献数
20

誤嚥性肺炎で入院歴のある多系統萎縮症(multiple system atrophy)患者3例に誤嚥防止目的で誤嚥防止術を施行した.2例に喉頭閉鎖術,1例に喉頭気管分離術を実施し,全例術後約2年の経過観察で誤嚥性肺炎の再発は認めず,夜間の吸引回数が減ったことで本人のQOLが向上し介護者の負担が軽減した.2例は経口摂取を継続できていた.手術の時期は音声言語でのコミュニケーションが困難になった時期が適切である.誤嚥防止術は経口摂取期間を延長して患者のQOLを維持し,呼吸器感染症の合併を減らすことで生命予後延長にも寄与できる可能性があり,有用な治療法の選択肢になりうる.