著者
鄧 志強 鈴木 彰
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.73-79, 2008
参考文献数
23
被引用文献数
2

外菌根性アンモニア菌,アカヒダワカフサタケの交配系は4極性であった.4種類の異なる交配型をもっ単核菌糸株は複核菌糸株と同様,子実体形成能を有していた.複核菌糸と単核菌糸由来の子実体形成はタイプI,タイプII,タイプIIIに大別された.タイプIは複核菌糸由来の通常の子実体形成である.タイプIIとタイプIIIは柄や傘の発達が不規則な子実体形成であり,後者は矯性の子実体を形成するものである.タイプIIはA^xB^xあるいはA^xB^yの交配型を有する単核菌糸株から,タイプIIIはA^yB^xあるいはA^yB^yの交配型を有する単核菌糸株から形成された.複核菌糸由来の子実体では,傘あたり1×10^7個の担子胞子が生産された.単核菌糸由来の子実体では,複核菌糸由来の子実体の1/40量以下の担子胞子しか生産されず,発芽率も複核菌糸由来の子実体由来の担子胞子に較べて低かった.以上のことに基づき,同菌の増殖戦略を考察した.