- 著者
-
小松 郁夫
鄭 廣姫(CHUNG Kwang?hee)
鄭 廣姫
CHUNG K.-H.
- 出版者
- 国立教育政策研究所
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2001
1.研究の進行・学級経営をめぐる問題の現象を把握するための調査実施。対象:韓国のソウル所在の小学校5年生(17学校)・日本の学校と学級経営に関する幅広い理解を求め、学級経営研究会、関連学会へ参加し、関連資料を収集すると共に、関連研究者との面談の実施。・調査結果の整理と分析、韓日の学級運営の現象に対する比較分析。・報告書の作成2.研究成果韓国で実施した調査結果を整理し、日本の調査結果と比較・分析した結果、次のようなことが分かった。まず、韓国の小学生の場合、日本に比べて「最近イライラすることが多い」(韓国63.1%、日本54.3%)、「疲れていると思う」子どもが多い(韓国75.6%、日本65.1%)ことが分かった。また、学級運営の現状を見ると、韓国の学級運営がより深刻な状態になっていることが調査結果、明らかになった。例えば、「授業中に立ち歩く人がいる」に対して韓国の小学生は41.4%(「とてもそう思う」「少しそう思う」を含む。以下同一)と答えているが、日本では27.2%である。「授業が始まっても教室に入らない人がいる」「授業中におしゃべりをしたり手紙を回す人がいる」に対しても韓国は各々33.2%、60.9%、日本は22.4%、54.1%となっており、韓国の学級運営がより困難な状態になっていることがわかる。「クラスにいじわるな人がいる」では韓国68.5%(とても多い33.3%、やや多い35.2%)で日本の38.4%(とても多い10.3%、やや多い28.1%)よりはるかに上回っており、至急な対策が求められている。しかし、授業などに対する意識面では韓同間に差が多く見えなかった。これは、韓同ともに子どもたちは授業中におしゃべりすることがよくないことや、授業時間を守ることの大事さ、授業中に授業と関係ないことをすることの悪さに対してもきちんと認識していることを意味している。学校生活の面では「学校が楽しい」「授業が楽しい」などの項目では有意味の差は見えなかったが、「みんなが同じことをしていれば安心です」(韓国40%、日本69.6%)、「クラスの友達からどう思われるか気になります」(韓国55.6%、日本72.1%)、では韓日間の差が大きく見られ、注目を引く。友人関係・学級の様子の面では「私のクラスは仲がいいです」(韓国26.2%、日本76.6%)で大きな差が現れ、先の「クラスにいじわる