著者
浦部 貴美子 酒井 久仁子 灘本 知憲
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.929-934, 2008-11-15

抗酸化性の高い野草を見いだすための予備的なスクリーニングとして,野草(44種)80%エタノール抽出液の1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl (DPPH)ラジカル消去活性を求めた.1)これらの野草(新鮮物1gあたり)は,α-トコフェロール相当量として8.5〜499.8μmolのDPPHラジカル消去活性を示し,特にキジムシロ,フキ,コニシキソウ,オオイヌタデ,サナエタデ,オオニシキソウ,メマツヨイグサは,すでに抗酸化作用の明らかなローズマリーの活性よりも高い値を示した.フキ以外の野草の抗酸化性については,本報告が初めてである.2)野草のDPPHラジカル消去活性とポリフェノール量との間には有意な正の相関関係(p<0.001)が認められた.しかし,高い抗酸化活性を示した7種の野草では,ラジカル消去活性値とポリフェノール量との相関は認められず,抗酸化力の強いポリフェノール,あるいは他成分の関与も考えられる.3)これらの野草とローズマリー抽出液添加によるリノール酸の酸化抑制効果をロダン鉄法により求めた.その結果,フキ,キジムシロ,メマツヨイグサ,オオイヌタデがローズマリーよりも高い酸化抑制効果を示した.