著者
酒井 董美
出版者
鳥取短期大学
雑誌
鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE (ISSN:13463365)
巻号頁・発行日
no.46, pp.21-38, 2002-12-01

わが国には「八百比丘尼」に関する伝説が多く,27都府県にわたって存在していることが,これまでの文献から明らかになっている.要旨は,漁師たちが竜宮に招かれて,人魚の肉を料理に出されるがだれも食べない.たまたま一人がそれを持ち帰り,そこの娘が食べたところ八百歳の長寿を得,しかも容姿は若い娘のままである.娘は比丘尼となって諸国を行脚し,植樹をしたり橋などを建立したりするが,最後は若狭の国で入定するというのが一般的な形である.本稿ではこの説話と「浦島太郎」の説話を対比させながら,人々の長寿を願う気持ちを背景に,祖霊信仰を踏まえて成立したものであることを,民俗学の立場から考察したものである.
著者
酒井 董美
出版者
鳥取短期大学
雑誌
鳥取短期大学研究紀要 (ISSN:13463365)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.7-16, 2004-12-01

昔話を語っていると, 聞き手が次々ど新しい話を要求してくる. そろそろやめたいど思っても, 聞き手がそれを承知しない. そのようなとき, 語り手が話を中止するため, 同じ語句を反復したり, 意味のない内容を語ったりして, 聞き手に「語り手はもう語ることをやめたいのだな」と, それとなく知らしめる. そのような種類の話型を「形式諏」と称する. 本稿では, そのようなわが国の形式謳について考察したものである.