著者
酒匂 潤 覚道 健治 白数 力也
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.160-168, 1999-09-25
被引用文献数
1

慢性関節リウマチ(以下RAと略す)のモデル動物であるMRL/lpr/lprマウスの顎関節について組織学的に,そしてMMP-3とTIMP-2の局在を免疫組織化学的に観察した.MMP-3は32週齢でパンヌスと思われる増殖滑膜組織および変形した表層関節軟骨の細胞周囲で強陽性であった.さらに滑膜および変形した下顎骨軟骨においてMMP-3陽性でTIMP-2陰性の部位も認められた.このことは局所的にMMPとTIMPのバランスが崩壊していると考えられた.関節円板は成長発育の時期においては最菲薄部でMMP-3が強陽性であったが,週齢を重ねるにつれ軟骨様細胞においても陽性像がみられるようになった.骨は全週齢を通して陰性であった.以上の結果からRAに罹患した顎関節におけるMMP-3の産生部位は滑膜,関節円板および関節軟骨であることが示唆される.