著者
武田 元一 覚道 健治 白数 力也
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.53-55, 1991-05-20 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11

舌癌手術後の組織欠損症例に対し腟粘膜全層遊離移植により即時再建を行ったので報告した。患者は45歳女性で, 右側舌縁部のT2N0M0の扁平上皮癌であった。放射線療法および化学療法にて術前治療を行った後, 右側全頸部郭清術と舌の部分切除術を pull through にて行い, 同時に舌口底部の組織欠損部に5.5×4.5cmの腟粘膜全層遊離移植を行った。donor site は縫縮を行った。舌前方部で一部移植粘膜が壊死に陥ったが, それ以外の部分では生着し, 外観, 機能面で満足のできる結果であった。
著者
森下 寛史 中嶋 正博 田中 克弥 覚道 健治 佐藤 正樹 川添 堯彬 杉立 光史 赤根 昌樹
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.227-231, 2005-06-25 (Released:2017-05-18)

われわれは舌縁部の咬傷を主訴に来院した58歳女性の巨舌症に対して舌縮小術を施行し, 術前後における音声機能を比較した.最大舌幅径は術前55mmから術後40mmに減少し, 舌縁部の歯の圧痕も消失した.また発語明瞭度検査および「杉スピーチアナライザー」を用いた音声分析の結果では術前と術後5か月とでは変化がみられず, 手術における機能障害は認められなかった.
著者
覚道 健治
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.440-448, 2015-09-20 (Released:2015-12-09)
参考文献数
17

Regarding the open surgery of temporomandibular joint mobilization for the removal of adhesive pseudwalls assisted by arthroscopy, this summary explained the surgical approach by Al-Kayat and Bramley, anatomically important points to remember, indications and treatment results, and procedures and the importance of postoperative rehabilitation.This introduced the diagnostic procedures and treatment algorithm for temporomandibular joint disorders (types IIIb and IV) patients with severe mouth-opening disturbance (mouth-opening distance was less than 30 mm) in the Second Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Osaka DentalUniversity. Furthermore, regarding intractable cases whose disease period was more than 6 months and adhesion lesions in the temporomandibular joint were suspected, we evaluated the clinical significance of the open surgery of temporomandibular joint mobilization for the removal of adhesive pseudwalls assisted by arthroscopy as a salvage operation.
著者
覚道 健治 清水谷 公成 四井 資隆
出版者
大阪歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

まず,in vitroの実験として,滑膜由来の培養細胞に対し生体におけるブラキシズムに類似したメカニカルストレスを与え,解析できる実験システムを開発した.それは,ラットの顎関節滑膜から初代培養により得た細胞を単層培養にて増殖させ,コラーゲンスキャホールドの中にコラーゲンゲルを併用して三次元培養組織を作製した.次に,顎関節解放手術の際に得られた滑膜組織からヒト滑膜由来培養細胞で同様に三次元培養組織を作製し,独自に開発した繰り返し圧縮刺激装置を用いて,生体におけるブラキシズムに類似した圧縮負荷ストレスを与えた.5日間負荷刺激後,三次元培養組織を回収し,細胞動態およびアポトーシス誘導を組織学的観察,炎症性サイトカインの遺伝子発現をRT-PCR法,タンパク発現をウェスタンブロッティング,ザイモグラフィ等の手法を用いて検索した。結果,過剰負荷想定の圧縮刺激により,MMP-1,MMP-3,IL-6,IL-8などの炎症性サイトカインのmRNA発現,タンパク発現の上昇が認められた.さらに,刺激直後,1時間後,6時間後の遺伝子発現の時間推移を調べた.その結果,サイトカインの種類により圧縮負荷刺激後の発現パターンが異なることが明らかになった.in vivoの実験として,ボランティアによる正常者の噛みしめ時の脳内賦活部位の解析をfunctional MRI(f-MRI)を使用して行った.その結果,噛みしめ時に賦活化される部位を特定することができた.さらに,噛みしめ時の不快症状が脳のどの部位で感知されているかどうかを調べるため,噛みしめのタスクに加え,浸潤麻酔および伝達麻酔を行い,歯根膜からの感覚を遮断し,その上で噛みしめ時のf-MRIを撮影,解析を行った.結果,片側の感覚遮断により,反対側の一次体性感覚野および運動野に賦活化が認められた.また両側の感覚遮断を行うことにより,脳の両側の体性感覚野および運動野の賦活領域の拡大がみられた.このことにより噛みしめ時の歯根膜からの感覚刺激が賦活化する脳の領域が明らかになった.
著者
酒匂 潤 覚道 健治 白数 力也
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.160-168, 1999-09-25
被引用文献数
1

慢性関節リウマチ(以下RAと略す)のモデル動物であるMRL/lpr/lprマウスの顎関節について組織学的に,そしてMMP-3とTIMP-2の局在を免疫組織化学的に観察した.MMP-3は32週齢でパンヌスと思われる増殖滑膜組織および変形した表層関節軟骨の細胞周囲で強陽性であった.さらに滑膜および変形した下顎骨軟骨においてMMP-3陽性でTIMP-2陰性の部位も認められた.このことは局所的にMMPとTIMPのバランスが崩壊していると考えられた.関節円板は成長発育の時期においては最菲薄部でMMP-3が強陽性であったが,週齢を重ねるにつれ軟骨様細胞においても陽性像がみられるようになった.骨は全週齢を通して陰性であった.以上の結果からRAに罹患した顎関節におけるMMP-3の産生部位は滑膜,関節円板および関節軟骨であることが示唆される.