著者
醍醐 弥太郎
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

肺癌・食道癌の発症初期での検出および疾患増悪を早期に感知する統合的病態診断系を開発し、それを迅速に癌予防・診断・治療へ展開することを目的として、平成23年度は、バイオマーカー候補分子の同定を進めるとともに、複数のバイオマーカーを統合した新規診断システムの構築を行った。(1)ELISA法等を用いた肺癌・食道癌の迅速血清診断系の構築血清バイオマーカー候補に対する抗体を用いたELISA法による肺癌の早期血清診断システムの構築を行い、あらたに新規血清診断マーカーとしてEBI3を同定した。さらに複数のマーカーを組み合わせて、最小のマーカー数で最大の感度・特異度を示す診断系を検討した。糖鎖プロテオミクス解析と血清ペプチドーム解析による肺癌患者血清中のタンパクを探索して複数の候補バイオマーカーを同定した。(2)免疫組織学的マーカーによる肺癌・食道癌の迅速悪性度診断法の構築組織染色マーカーについて腫瘍組織マイクロアレイ(肺、食道癌他)および正常組織マイクロアレイを使用し免疫組織染色を行い、蛋白発現レベルと臨床病理・予後情報との相関を検討し、あらたに予後予測マーカーとして、CSTF2、CHODL、OIP5、CDC20、KIAA0101、MAD2、MCM7、EZH2を同定した。さらに最小のマーカー数で定量的に癌の悪性度を予測する診断法を検討した。(3)肺癌・食道癌の迅速病態診断系の構築と検証上記の血清および免疫組織学的マーカーを各診断段階で有機的に使い分ける肺癌・食道癌の迅速病態診断系を検討した。