著者
生田 奈穂 畑野 相子 蓑原 文子
出版者
滋賀医科大学
雑誌
滋賀医科大学看護学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.29-35, 2016-03-31

本研究は、死期が迫った患者の心理面への看護の実際の特徴とそれを支える要因を記述することを目的とした。緩和ケア認定看護師3名を対象とし、半構成的面接調査を行い、逐語録を作成し、看護の実際とその要因分析を行った。 その結果、97の語り、34のサブカテゴリー、15のカテゴリーが得られた。看護の実際では、【希望を具体的に聞き取るように情報収集】【その人らしさを支えるように条件整備】【信頼関係が築けるように普段の会話】【自身の介入分野を見極めてスタッフと協働】【告知や死の受け入れ方に合わせて対応】【死に関する発言を受け止めて寄り添う】【患者のこれからの過ごし方を模索】の7つ、看護を支える要因では【緩和ケアに関する知識とその実践】【看取りの経験を知識に変える努力】【安心して逝ってもらえたと思えた体験】【看護師仲間での看取りの振り返り】【死との向き合い方の振り返りと模索】【死を否定せず生物体の死としての受け止め】【死に関する応答は自分自身が技術やスキル】【死生観を高めるためには日々の精進】の8つのカテゴリーが得られた。この中で終末期看護の特徴的なものとして【希望を具体的に聞き取るように情報収集】【告知や死の受け入れ方に合わせて対応】【死に関する発言を受け止めて寄り添う】が抽出された。
著者
高島 明子
出版者
滋賀医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、月経不順、卵巣の多嚢胞化、男性化の症状または血清中の男性ホルモンの増加などが認められる症候群である。近年になりPCOSにインスリン抵抗性が深く関わっているとの報告がなされて来ている。また、食酢には、インスリン抵抗性を改善効果が認められるとの報告がなされて来ている。そこで7人の患者を対象に600㎎酢酸含有りんご酢飲料の内服を一日一回3か月間行った。HOMA-Rは全例改善し、LH/FSH比も5人に改善が認められ、4人に月経周期の回復が認められた。現在、脂質マーカーなどの変化を調査中である。
著者
宮田 悠
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

脳動脈瘤の発生や増大はマクロファージ依存的な慢性炎症により制御されていることはよく知られているが、脳動脈瘤の破裂には脳血管の器質的変化と炎症反応が重要であることが最近の我々の研究から示された (Miyata. J Neurosurg. 2019)。しかしながら、生じうる器質的変化の誘因や破裂に繋がりうる炎症反応の詳細な機構については未解明である。脳動脈瘤が安定した状態を維持する、あるいは破裂に至る変化を生じる機構を解明することは、脳動脈瘤破裂を制御する治療法の開発につながりうる。脳血管壁の器質的変化および破裂と関連する炎症反応の解析を行うことで、脳動脈瘤の破裂を制御する機構を解明する。
著者
藤野 和典
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

過大侵襲術後や多発外傷後、重症感染症等の重症患者は集中治療を必要とし、現代の医学をもってしても未だに高い死亡率を呈している。近年Intensive insulin therapyと呼ばれる治療法が集中治療領域にて注目を浴びており、血糖値を80mg/dl以上、110mg/dl以下にコントロールすることにより、重症患者の予後を改善させると報告されている。その成因について我々は、高血糖状態においてはインスリン産生細胞が骨髄、肝臓、脂肪細胞に認められ、これらの細胞は骨髄細胞に由来することをマウスにて観察した。(Kojima H, et. al. PNAS;101(8):2458-63,2004)、重症患者においても、骨髄細胞よりの異常な細胞の各臓器細胞への融合が関連しているとの仮説が成り立つと考えられた。そこで本研究では、多臓器不全にて死亡された患者において、病理解剖を行い、当院に臓器が保存されているケースにて病歴を調べ、血糖値が上昇している(空腹時血糖が110mg/dlが超えている)患者の主要臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓)内に、インスリンの免疫染色を行った。糖尿病の既往のある多臓器不全死亡患者にては、マウスの実験と同様に各臓器にインスリン陽性細胞が認められた。糖尿病の既往のない多臓器不全死亡患者においては、3日以内に死亡されるような経過が急な場合ではインスリン陽性細胞は殆ど見られなかったが、3日以上経過し、死亡した場合には殆どの場合、特に肝臓、腎臓においてインスリン陽性細胞が認められ、その陽性細胞は抗TNF抗体による染色にても陽性であった。本研究により侵襲下の高血糖は、肝臓、腎臓にインスリン陽性細胞を誘導し、その細胞よりTNF-αが産生され、SIRS(systemic inflammatory response syndrome)の遷延、ひいてはMODS(multiple organdysfunction syndrome)への進行を導いている可能性が示唆された。
著者
守村 直子 有賀 純 三品 昌美 等 誠司 安田 浩樹 吉川 武男 彌永 亜季
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

膜貫通型分子をコードするシナプス接着分子Lrfn/SALMは、足場タンパク質PSD-95と会合してNMDA受容体およびAMPA受容体のポストシナプスへの集積および細胞表面発現を制御することを見出した。Lrfn2ノックアウトマウスを用いた解析から、Lrfn2が海馬のシナプス構造や可塑性さらに海馬依存的な記憶・学習に関与することを明らかにした。興味深いことに、ノックアウトマウスは社会的ひきこもりやプレパルス抑制に異常がみられた。アジア人を対象とした全ゲノム関連解析(GWAS)から、自閉症患者でLRFN2一塩基変異型LRFN2_R274Hが、統合失調症患者でLRFN2_E462Dを発見した。
著者
古荘 義雄
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、「電荷支援型水素結合」と呼ばれる極めて強い非共有結合的相互作用を用いて、新たなソフトマテリアルを構築する方法論の開拓に取り組んだ。特に、合成高分子を基盤とする超分子ポリマーゲルの構築に集中的に取り組み、アミジン基をもつポリマーとカルボキシ基をもつポリマーを溶液中で混合したのちに溶媒を留去するだけで簡単に、電荷支援型水素結合の三次元ネットワーク構造を有する超分子ポリマーゲルが得られることを見出した。これらの超分子ポリマーゲルは温度変化に対して可逆的に粘弾性を変化させ、また、多くの場合、低温では流動性を示さず、貯蔵弾性率が1 MPa以上のゴム状領域を示すことがわかった。
著者
上島 弘嗣 藤吉 朗 宮川 尚子 喜多 義邦 大久保 孝義 門田 文 久松 隆史 高嶋 直敬 三浦 克之 村上 義孝
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

(1)縦断解析:インスリン抵抗性と冠動脈硬化進展、歩数とメタボリックシンドローム発症との関連、(2)国際共同研究:米国住民コホートMESAとの冠動脈硬化日米比較、ピッツバーグ大学等との共同研究にてオメガ‐3脂肪酸と冠動脈石灰化発症との関連等、(3)遺伝子、メタボローム、新興バイオマーカー:アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子多型とLDL-コレステロール、リポプロティン関連ホスフォリパーゼA2とその遺伝子多型と潜在性動脈硬化との関連等を明らかにした。尿中メタボローム・酸化変性LDLも測定済みであり引き続き有用なバイオマーカーの探求を続ける。
著者
遠藤 幸英
出版者
滋賀医科大学
雑誌
滋賀医科大学基礎学研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.37-46, 1991-03