著者
重岡 洋平
出版者
広島商船高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

○研究目的本校の商船学科学生は、本校における4年半の授業や実験実習に加えて、1年間の大型練習船による国内外の航海実習を通して、航海に必要な知識や技術を学んでいる。この航海実習において船舶での輸送航路の重要な要衝となる海峡や運河等を通過し、実際に航海実習で目にすることは学生にとって非常に有用である。しかし、近年は燃料の様々な問題から海外航路の重要な通過点である海峡や運河等は通航しなくなった。そこで本研究では世界中の船舶の航路の中でも重要な役割を担っている運河を模型とし、運河の往来および構造を視覚約に学ぶことができる教材の開発を目的とする。○研究方法運河の模型として、世界三大運河の一つであるパナマ運河を選ぶこととする。パナマ運河は年間1万隻以上の船舶の通航があり、世界的に見ても重要な運河である。また、閘門式と呼ばれる閘室内に船舶を入れ閘門を閉じ内部に水を貯め高低差のある運河をつなぐ構造を持ち、パナマ中央部のガトゥン湖も運河の一部として利用している特殊な運河である。この運河を模型にするにあたり、他の研究や教育にも活用されているLEGO EDUCATIONを用いて製作する。また閘門の門が開閉する構造や水を送るポンプなどの複雑な構造は、パーツの組合せで複雑な動きを可能にするLEGO TECHNICを使用することで再現する。○研究成果閘室とポンプをブロックのみで製作したことで、ブロックを組合せた部分から水が漏れ出てしまい、ポンプは水を送る量が少なくなってしまう。閘室も同様に隙間から水が漏れるため、水位の上昇に時間がかかってしまう。また、ブロックそのものが浮力の強い材料であるため浮力を考慮した構造にする必要が生じる。模型を製作する上で、ブロックを大量に使用するため上にあげた部分への考慮と、模型そのものの構造に配慮する必要がある。本校学生と共同で製作し、学生から改良する点はまだ多いが視覚的に体験できる良い模型になったとの評価を得た。