著者
重田 桂誓 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.609-623, 2013-02-15 (Released:2013-03-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1

現在,Web コンテンツを対象としたキュレーションが注目されている.キュレーションとは,あるテーマに対して人が独自の視点でコンテンツを取捨選択し,1つにまとめることである.キュレーションにおいては,このようなコンテンツを解釈する視点であるコンテキストが重要とされている.しかし,Naver まとめをはじめとする既存サービスでは,多様なコンテキストを表現できない.さらに,コンテキストの直感的な把握ができないため,試行錯誤しながらよりよいキュレーションを行うことが困難である.この問題を解決するために,本研究では表紙生成エンジンを用いた二次元配置型 Web キュレーションシステムを開発した.二次元配置は Web コンテンツの自由なレイアウトやキュレーションされたページ全体の俯瞰を可能にする.一方,Web ページの表紙は,画像やテキスト,色を組み合わせて生成するため,個々のページの内容やコンテキストの直観的な把握を助ける.本システムの有効性を評価するため,学生 16 名を対象に Naver まとめとの比較実験を行った.その結果,本システムの方が多種多様な表現によるキュレーションが行われ,また,まとめたページに含まれる視覚的要素の割合も高かった.さらに,本システムの方がコンテンツの見た目や直観性を意識してキュレーションする傾向も確認できた.