著者
榊 剛史 松尾 豊
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.773-780, 2014-08-15 (Released:2014-09-23)
参考文献数
16

近年,ソーシャルメディア上のデータを分析することで社会調査やマーケティングを実現する試みが増加している.ユーザの投稿内容を分析し,マーケティングに活かすには,調査対象のユーザ属性を取得する必要がある.ユーザ属性によっては,推定しやすいものと推定しにくいものがあり,例えば年齢や性別などの属性の推定は,以前から研究が行われていた.一方,ユーザ属性のなかでも職業は取得することが難しく,これまで研究が行われていない.本研究では,ユーザの職業を判別するために,ユーザの投稿内容に加え,ユーザの自己紹介文およびユーザが他の人から付与されたタグの情報を使うことで精度を向上させる.提案手法では,サポートベクターマシン(SVM)を使い,ユーザの投稿内容や自己紹介文,被リスト名を素性とすることで,会社員の職業推定に関して,適合率0.85,再現率0.77という実用的な精度で職業判別を実現することができた.
著者
棟方 渚 吉田 直史 櫻沢 繁 塚原 保夫 松原 仁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.243-249, 2005-04-15
参考文献数
6
被引用文献数
5

近年, コンピュータシステムの急速な普及により, 老若男女, 多様なユーザ層がコンピュータを利用している.このようなIT技術の進展の中で, ユーザがコンピュータを道具として使用するばかりではなく, コンピュータがユーザの身体情報に基づいてユーザと相互作用することにより, 人と機械の間にコミュニケーションを生み出すような新しいインタフェースを開発する試みがある[1].しかし, 人の身体情報の意味が十分に理解されつくしてはいないこと, また, 相互のコミュニケーションを可能とするには両者が能動的であることが要求されるため, そこに新しいコミュニケーションを生み出すことは困難である.本研究では, 人の生体信号をゲームに取り入れることで人とコンピュータの新しいインタラクションの実現を試みた.数ある生体信号の中でも皮膚表面抵抗に着目した.実験では, プレイヤの皮膚表面抵抗の変動から心理状態の変化を読み取り, それをプレイヤに提示する一種のバイオフィードバック系を利用したゲームを作成した.このゲームは, プレイヤの皮膚表面抵抗の変動を測定し, その変動が大きいほど敵が多く現れ, ゲーム画面上のオシロスコープやインジケータにリアルタイムに皮膚表面抵抗の変動をプレイヤ自身へ提示する仕組みとした.実験はこのゲームのバイオフィードバックの構成法やゲーム画面等の状態を変え, プレイヤの皮膚表面抵抗の変動を測定しそれらを比較した.比較は二通りの実験により行い, 一方はバイオフィードバックの有無によって皮膚表面抵抗の変動に与える効果を比較した.もう一方の実験では, ゲーム画面上に設けたオシロスコープやインジケータに, プレイヤの皮膚表面抵抗の信号を遅延させて表示し, リアルタイム表示の場合との変動の仕方を比較した.実験の結果では, バイオフィードバックがあるゲームと無いゲームではバイオフィードバックを使用したゲームの方がプレイヤの皮膚表面抵抗の変動が大きかった.また, バイオフィードバックを遅延させた表示のゲームよりもリアルタイムに表示させたゲームのプレイヤの方が, ゲーム中の皮膚表面抵抗の変動が大きかった.これらの結果から生体信号を用いたゲームにおいて, 生体信号をゲームの進行に反映させることの他に, ゲーム画面上のバイオフィードバックの表示を行うことが重要な要素であることがわかった.特に, 遅延表示の実験では, 表示を遅延したことに気付いた者はいなかったが, 変動量にはそれぞれ差がでたことから, リアルタイムにゲームの進行に反映させることや, バイオフィードバックの表示を行うことも重要であることがわかった.このような結果となったのは, ゲームを通じて無意識の自分自身を意識することが, 更に皮膚表面抵抗の変動を生じさせたからであると推測される.
著者
谷津 元樹 荒木 健治
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.875-886, 2016-10-15 (Released:2016-11-12)
参考文献数
25

近年,対話システムの普及に伴い,機械が言語的ユーモアを理解する必要性が高まっている.これまでの研究において,駄洒落などの韻文のユーモアを対象に大規模な自然文の集合から検出を試みた例は確認されていない.駄洒落を含む文をブログテキストよりSVMを用いて分類する手法を提案し,有効な素性を調べるため,駄洒落全般の類型別の構成比の標本調査を行った.その結果,文内に音韻的に類似した1形態素およびそれに対応する音素列を有する駄洒落の類型が支配的であることが判明した.このため本論文では,語彙素性に加え,音韻類似度に基づく音韻類似区間の検出ルールを素性としたSupport Vector Machineを用いた分類による検出手法を提案する.検出性能評価実験の結果,提案手法におけるルールベース素性の付加の有効性が確認された.
著者
高橋 英之 岡田 浩之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.450-463, 2010-08-15 (Released:2010-11-15)
参考文献数
30
被引用文献数
3

コミュニケーションは人間の社会性の基盤となるものである.コミュニケーションは情報交換であり,一般的にはそこに曖昧さは必要が無いと考えられる.本論文では,人間のコミュニケーションに含まれる曖昧さが,特に大きな規模の社会集団では非常に重要な機能を持つという仮説を提起し,それを検討するためのシミュレーションと二つの顔表情を題材とした心理実験を行った.本論文ではそれらの研究の詳細を述べるとともに,それらの結果を受け,社会性やコミュニケーションの背後には曖昧さを処理する脳機能が大きな働きをしているのではないかという議論を行った.
著者
岡本 雅史 大庭 真人 榎本 美香 飯田 仁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.526-539, 2008-08-15
被引用文献数
5 1

本研究は,漫才対話が二者間での対話形式を取りながら第三者である観客への情報伝達を可能とする<オープンコミュニケーション>構造を持つことに着目し,発話・視線・姿勢などのマルチモーダルな要素間の相互作用の分析を行うことにより,二体の擬人化エージェントの対話を通じてユーザに効果的にインストラクションを行う対話型教示エージェントモデルを構築する上で有用な知見を得ることを目的とする.特にオープンコミュニケーションの大きな特徴の一つであるコミュニケーションの「外部指向性」に焦点を当て,非明示的な観客への情報伝達である「外部指向性」と直接的に観客への働きかけを行う「内部指向性」の両者が,どのように演者内のマルチモーダルな振る舞いと演者間のインタラクションによって実現されているかをプロの漫才帥の対話映像の分析から探った.結果として,オープンコミュニケーションにおける指向性の顕在化は,今回分析対象とした二組の漫才コンビ間で異なる形式を持つことが明らかとなり,オープンコミュニケーションの指向性を捉える上でマルチモーダルなチャネル間の相互関係が重要な役割を果たしていることがわかった.
著者
宮本 雅人 酒井 浩之 増山 繁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.752-760, 2006-10-15
被引用文献数
1 1

研究のプレゼンテーションでは,限られた時間の中で,聴衆に研究成果をよく理解してもらうために,プレゼンテーションスライドの作成が必要不可欠である.しかし,スライドの作成には多くの時間と手間を要する.そのため,多くの研究者がスライド作成の効率化を望んでいる.本研究では,研究者の負担軽減を目的として,論文LATEX原稿からスライドを自動生成する手法を提案する.本手法では,LATEXファイルの解析,スライドへの内容の割り当て,接続詞を利用した箇条書き生成を行なう.LATEXファイルの解析では,スライド生成に必要な情報は残し,不要な情報の削除を行なう.LATEXファイルの定型的な構造を利用すれば,必要な情報を特定することが可能である.スライド割り当てにおいては,論文中での名詞の出現頻度,エントロピー,idf値に基づいて名詞の重要度を計算する.その重要度に基づいて,各セクションに対して,スライド枚数の割り当て,重要文の抽出を行なう.接続詞を利用した箇条書き生成においては,並列関係を表す接続詞を利用する.なぜなら,並列関係を表す接続詞を含む文には,その文と対になる文が存在する場合が多いからである.評価の結果,本手法は論文に忠実なスライド生成に有効であることがわかった.
著者
重田 桂誓 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.609-623, 2013-02-15 (Released:2013-03-04)
参考文献数
14

現在,Web コンテンツを対象としたキュレーションが注目されている.キュレーションとは,あるテーマに対して人が独自の視点でコンテンツを取捨選択し,1つにまとめることである.キュレーションにおいては,このようなコンテンツを解釈する視点であるコンテキストが重要とされている.しかし,Naver まとめをはじめとする既存サービスでは,多様なコンテキストを表現できない.さらに,コンテキストの直感的な把握ができないため,試行錯誤しながらよりよいキュレーションを行うことが困難である.この問題を解決するために,本研究では表紙生成エンジンを用いた二次元配置型 Web キュレーションシステムを開発した.二次元配置は Web コンテンツの自由なレイアウトやキュレーションされたページ全体の俯瞰を可能にする.一方,Web ページの表紙は,画像やテキスト,色を組み合わせて生成するため,個々のページの内容やコンテキストの直観的な把握を助ける.本システムの有効性を評価するため,学生 16 名を対象に Naver まとめとの比較実験を行った.その結果,本システムの方が多種多様な表現によるキュレーションが行われ,また,まとめたページに含まれる視覚的要素の割合も高かった.さらに,本システムの方がコンテンツの見た目や直観性を意識してキュレーションする傾向も確認できた.
著者
松村 真宏 市橋 歩実
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.733-743, 2010-12-15
被引用文献数
3

本論文では,誰もが地域に関する情報を書き込み,他者と共有することができる「らくがきマップ」を呼ぶ地図型コミュニケーションツールを提案した.らくがきマップに対する住民の反応およびらくがきマップを介したコミュケーションや意識変化に関する示唆を得るために3つの実証実験を行った.らくがきマップの形跡調査,参加者の行動観察やインタビュー,アンケート調査の結果,らくがきマップは小学生から高齢者まで世代を超えた幅広い年代に利用され,住民の地域情報の発信・共有のニーズが十分にあることを明らかにした.また,住民の書き込みによってらくがきマップが作られるという住民主導型の参加スタイルが,住民に自らのまち情報を振り返るきっかけを与えたり,地域への愛着を高めることを示した.
著者
亀井 且有 豊田 晃史 串田 淳一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.944-953, 2012-10-15 (Released:2012-11-05)
参考文献数
27
被引用文献数
1

擬似同期を用いた動画共有の代表的な例として,ニコニコ動画がある.そこでは,コメントが挿入されたビデオを見ている視聴者は一人でビデオを見ているにもかかわらず,ユーザーとそのシーンの感情をあたかも共有しているかのように感じる.本論文では,擬似同期を用いた動画共有において動画に重畳されるコメントに起因する視聴者の感情高揚について述べる.まず,ラッセルの円環モデルの4感情を生起させる動画を選出する.次に,それらをニコニコ動画に投稿し,それら動画に重畳された代表的なコメントを抽出する.さらに,それらコメントを先の動画に重畳した動画を作成し,被験者がコメントあり動画およびなし動画(オリジナル動画)をそれぞれ視聴しているときの感情の強さを測定する実験を行う.最後に,実験結果より各感情におけるコメントの有無と感情高揚との関係を明らかにするとともに感情心理学や神経科学の観点からその現象を考察する.
著者
小西 健太 村田 忠彦 名取 良太
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.203-210, 2010-04-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

本論文では,投票率上昇と投票所数削減のための投票シミュレーションを提案する.まず,有権者の投票と棄権の2つの効用関数を設定する.次に,区域ごとに,それらの効用関数を組み合わせる投票係数を調整する.実際の投票率を用いた調整プロセスにより,各区域の実投票率と予測投票率の差を最小化する.さらに推定された投票係数を用いて,2目的遺伝アルゴリズム(NSGA-II)による投票率最大化と投票所数最小化を行う.これにより,投票所数を維持したまま,投票率が上昇する投票区割りの最適化や,投票率を維持した投票所数の最小化を行うことが可能となる.
著者
岩満 優美 竹村 和久 松村 治 王 雨晗 延藤 麻子 小平 明子 轟 純一 轟 慶子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.651-658, 2013-04-15 (Released:2013-06-05)
参考文献数
16
被引用文献数
2

精神医科学や臨床心理学においては,投映描画は個人の人格的理解と行動の全般的理解のために用いられている.特にコッホによって開発された樹木画(バウムテスト)は,医学的診断の補助や心理学的評価のために用いられることが多い.投映描画の解釈では客観性に乏しく,信頼性が低いため,われわれは,いくつかの画像解析技法の手法を統合した方法を用いて,精神障害患者の描画を解釈することを試みた.本研究で提案された方法は,下記のとおりである.(1)濃度ヒストグラム法(GLHM 法),(2) 空間濃度レベル依存法(SGLDM),(3)濃度レベル差分法(GLDM),(4)矩形行列を実行列または複素行列に分解する特異値分解,(5)画像の波形成分を分解するフーリエ解析,(6)画像解析をもとにした描画の臨床心理学的解釈である.これらの投映的樹木テストの画像解析諸技法は,精神障害の心理学的過程を解釈するために利用された.
著者
黒須 亮成 清水 博貴 橋本 智己
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.501-506, 2017-02-15 (Released:2017-02-22)
参考文献数
16

本稿では,人間とロボットの間で自然なコミュニケーションの実現を目指し,コミュニケーションエージェントの感情モデルを提案する.提案モデルは,「怒り」,「嫌悪」,「恐れ」,「悲しみ」,「幸福」,「驚き」の6感情を持ち,ファジィ認知マップで構成されている.6感情を相互に結合することで,幸福だが悲しい,悲しくて恐ろしい,恐ろしくて嫌悪するといった複数の感情を同時に表現することができる.提案モデルは,時間的に変化する重みと時間遅れの要素を組み込んでいて,情動と気分,サーカディアンリズムを表現する.感覚遮断を模して1週間放置した実験では,周期的に過去の感情が励起する反応が観察された.
著者
鬼沢 武久 風見 覚 高橋 千晴
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.127-141, 2003-02-15
被引用文献数
2

ゲームには相手と自分の手がわかる完全情報ゲームとお互いに相手の手が完全にはわからない不完全情報ゲームとがある。将棋やチェスのような完全情報ゲームでは強いアルゴリズム開発を目指したコンピュータ将棋やチェスの研究が盛んで、世界チャンピオンやアマ有段者並みの強さを持つアルゴリズムが開発されている。一方、不完全情報ゲームでは不確実な情報のもとで相手の手の強さやゲーム戦略を推論しなければならず、その推論結果には不確実性が伴い、完全情報ゲームと比べると強いアルゴリズムを開発するまでにはいたっていない。本論文では、不完全情報ゲームとしてセブンカードスタッドポーカーを例にして、そのプレイングシステムを構築することを目的とする。本システムでは対戦相手の傾向に応じた意思決定を行うために後件部が確定していない、そして閾値をもった変則のファジィルールを用い、対戦相手の傾向に応じてルールを修正する。本システムは、この変則的なファジィルールを用いたファジィ推論によって、相手の見えているカードと相手の賭け金とから、自分の手の優劣推定やゲームを続行するかどうかの判断、自分の賭け金の判断を行う意思決定システムである。本システムの有効性を確認するために、人間プレーヤと1対1のゲームを行い、そこから得られたデータを解析している。
著者
石岡 卓也 米田 貴雄 吉井 伸一郎 古川 正志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.680-688, 2007-12-15 (Released:2008-03-17)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究は,実社会の情報伝播の一部分を成すブログ上の情報伝播に着目し,その特性として特に重要であると考えられる情報伝播規模がどのように分布するか,またその分布を決定付ける要因が何であるかを明らかにすることを目的とする.そのため,実ネットワークで観測したブログ上における情報伝播の規模分布の結果と,その数理モデルによる結果を比較し,適切なモデルを得る.情報伝播の規模は,トラックバックの連鎖によって情報が幾つのエントリへ伝播したかを採用した.数理モデルとしては複雑ネットワーク上のパーコレーションを適用した.結果として,ブログ上の情報伝播規模は,スケールフリーネットワーク上のパーコレーションと類似することが分かった.
著者
寺口 敏生 田中 成典 西江 将男
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.411-427, 2011-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
31

近年,情報関連技術の普及と発展に伴い,カーナビゲーションを代表とする地理空間情報サービスが普及している.しかし,地理空間情報サービスの基盤となる地図情報の整備は人手による現地踏査に依存しているため,新店舗の開店などの実空間の情報変化に地図情報が追従できていない問題がある.そこで,著者らは,Web上の新店舗の開店情報を対象として,自然言語から店舗名,住所や業種などの店舗情報を自動収集するテキストマイニングの研究を行ってきた.しかし,新規開店に関連するキーワードだけを用いてマイニングを行った場合,業種別の単語出現傾向の違いや,単語の連接関係によって生じるノイズなどの自然言語の曖昧性に起因する課題に加え,情報自体の正誤を評価できないという課題に直面した.そこで,本研究では,キーワードによるマイニングに加え,マーケティング分析の指標に基づいて,店舗の業種と出店位置の地理的特性との関係を活用することで,これらの課題を克服することを目指す.実験から,地理的特性を考慮した情報を評価することによって,新店舗に関する開店情報を高精度に取得できることを実証した.
著者
岡部 貴博 吉川 大弘 古橋 武
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.689-700, 2006-10-15
被引用文献数
3 4

現在,多くの病院では,医療従事者が勤務中に遭遇したヒヤリとしたこと,ハッとしたことをレポート形式で報告する制度が採用されている.このレポートはインシデントレポートと呼ばれており,事故の種類や発生場所などのメタデータと,大部分は自由記述の文章で記されている.インシデントレポートには,ヒューマンエラーを起こしやすい状況や,病院のシステムの改善点,事故の要因などの様々な重要な情報を含んでいることが多いため,インシデントレポートを解析することは医療事故を防止するための対策を発見するのに有用である.しかしこれまでは,定量化しやすいメタデータ部分を用いて,事故の発生件数の推移や,業務別の報告件数の割合を分析したり,病棟や部署での報告件数を比較するだけにとどまっている.そのため,事例の大まかな傾向をつかむことはできても,各事例の中に含まれている重要な情報の解析はできていない.一方で近年,自由記述の文章から有益な情報を抽出する,テキストマイニングに関する研究が盛んに行われている.本論文では,メタデータと語句の共起情報を利用したテキストマイニング手法を提案し,インシデントレポート解析への適用を行う.提案手法は,メタデータを最上位とする階層構造で表現されたキーワードグラフを作成する.また,解析者が能動的に解析したい項目を掘り下げていけるという特徴を持つ.実際のインシデントレポートを対象とした評価実験により,提案手法の有用性を検証する.
著者
星野 怜旺 椎名 孝之 森戸 晋 今泉 淳
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会誌 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.652-657, 2018-08-15

<p>本研究では,プロ野球において,球団間の未消化試合数の差ができるだけ小さくなるようなスケジュールの作成を目的とする.確定的なスケジュールの作成のみにとどまらず,雨天中止という不確実性を考慮したスケジュールを考える.まず整数計画法によりスケジュールを生成する.そして雨天中止を考慮することにより,球団間の未消化試合数の差の最小化を図る.本研究では,実際の日程と比較して全体の未消化試合数を抑えるとともに,各チームの最大値と最小値の差も抑えることが出来た.これにより,球団間の未消化試合数の差を抑制できた.</p>
著者
日景 奈津子 村山 優子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.250-255, 2007-06-15 (Released:2007-08-24)
参考文献数
14

本研究では,これまでに安心感の定量的評価の実現を目的とした安心度評価モデルについて提案してきた.本論文では,安心度評価モデルについて紹介し,提案モデルの妥当性の検証について報告する.質問紙を用いて安心感に関する意識調査を実施し,得られた統計データを用いて因子分析を実行した.その結果,1)社会的信用と安全性に対するユーザの期待感,2)ユーザインタフェースを介して得られる満足度,3)ユーザの主観と経験に基づくリスク理解の3 因子が安心感要因として抽出可能であることを確認し,提案モデルを支持する安心感の構造を示した.今後の課題として,抽出された安心感因子を用いて,あるシステムに対するユーザの主観評価値を予測するためには,これらの因子を定量的に考慮した予測方法の定式化または数量化手法の検討が望まれる.