著者
吉田 裕志 野上 耕介 里田 浩三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.449, pp.349-354, 2010-02-25
被引用文献数
1

べストエフォート型のIPネットワークを介した映像配信サービスでは,パケットロスやパケット到着遅延が映像の視聴品質を低下させることがある.この問題に対して,適切な映像ビットレートやFEC冗長度で映像を配信する手法が有効だが,そのためにはEnd-to-Endで通過可能なトラヒックレート,すなわちグッドプットを推定する必要がある.これに関して,従来から可用帯域を推定する技術が数多く研究されてきた.しかし,可用帯域はリンクの物理帯域からそこを流れるクロストラヒックの平均レートを減じた値であり,トラヒックの相互作用が考慮されていないため,グッドプットと一致しない.本稿では,トラヒックの相互作用によるグッドプットの動特性が粘弾性特性を有することを指摘し,粘弾性体モデルを用いてグッドプットの動特性を解析する手法を提案する.そして,ns-2を用いたシミュレーションによって,粘弾性体モデルがその動特性を適合率約80%で高精度に解析できることを示す.