著者
坂崎 俊介 若原 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.564, pp.85-90, 2005-01-13

近年, インターネットの普及により教育分野にもネットワークに接続されたコンピュータが大量に導入され, ネットワークを利用した教育の普及が進んでいる. 米国のADL(Advanced Distributed learning Initiative)が中心となって進められてきた国際標準化によって, SCORM(Sharable Content Object Reference Model)対応のシステム・コンテンツ市場が拡大している. また教材や素材のための学習オブジェクトメタデータ(LOM : Learning Object Metadata)も大きく進展してきており, 今後教育現場においてeラーニングの需要はますます高まると思われる. 本報告では, 学習教材を受講者の理解度や学習パターンに合わせた内容にカスタマイズさせることで, 学習効果を改善させることを狙いとした学習支援システムを提案し, 学習教材の作成手法および支援方法について具体的に述べる.
著者
西本 将也 依田 浩和 八名 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.524, pp.17-22, 2007-01-25
被引用文献数
2

本稿では,日本のバックボーンを代表するインターネットエクスチェンジにおけるネットワークトラヒックの長期変動を対象にし,状態空間モデルによるネットワークトラヒックの成分分解について述べる.ネットワークトラヒックの長期変動に対しては周期的な変動あるいは祝日における変動などが見られ,これらに対しいくつかの状態空間モデルを提案し,カルマンフィルタの適用によってそれら各変動成分への分解を行う.また,これらの状態空間モデルは尤度によりモデルのパラメータの推定を行った.また応用例として,最も適合するモデルに対しそのトラヒックの予測についても行った.
著者
首藤 裕一 波戸 邦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.206, pp.13-18, 2013-09-05

仮想化技術およびブロードバンドネットワークの普及に伴い,クラウドコンピューティングの商用利用が進んでいる.これまでに多くの研究でパブリッククラウドが提供する仮想マシン(VM)の性能分析がなされているが,そのほとんどが代表的なクラウド事業者1社のVM性能についての分析であり,得られた知見がクラウド一般に成立するかどうかは未検証である.本研究では,5つのパブリッククラウドの性能を1か月間測定することで,パブリッククラウドの一般的な性能特性を分析する.既存研究の結果と同様に,本測定の対象とした5つのクラウドにおいても,VMの発揮する性能が非常に不安定である(測定値の分散が大きい)こと,および,測定値の分布に複数のまとまりが生じ得ること示す.また,既存の研究では見られなかった特性として,多くのクラウドでVMの性能特性に中長期的な時間変動が現れることを示す.
著者
藤瀬 雅行 川端 文雄 今林 淳 小野塚 信夫 井戸上 彰 加藤 聰音
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.97, no.183, pp.15-22, 1997-07-18
被引用文献数
3

PHSでは、本年4月より、PIAFS (PHS Internet Access Forum Standard)と呼ばれるプロトコルを用いた32Kbpsのデータ通信サービスが開始されている。本データ通信サービスでは、TCP/IPによる既存のデータアプリケーションが広く利用されると考えられ、PIAFS上でのTCP/IP通信の性能を明らかにすることが重要となる。そこで筆者らは、PIAFSに準拠した移動端末と固定ホストの間で、ftpによるファイル転送スループットの測定を行うとともに、伝送誤りのある場合のPIAFSとTCPの振舞いについて解析した。本稿では、それらの結果について述べる。
著者
亀田 壽夫 李 頡 李 頡 李 頡 細川 督央
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.105, pp.49-56, 2000-06-02

分散コンピュータシステム等は、その使用形態に応じて、完全な集中から完全な分散にいたるまで、性能最適化目標に対する種々のレベルの分散を考えることができる。本研究では、中間的な分散最適化において、システムに資源を増強すると、かえって全てのユーザに対して性能が劣化することがあるという逆説的現象を見出した。また、そのような劣化が生ずる条件を求めた。さらに、そのような劣化が限りなく大きくなる場合があり得ることを示した。このようなパラドックスを、分散コンピュータシステムのモデルについて論じ、数値的ならびに数理的結果を述べた。
著者
星 健太郎 加納 貞彦 高橋 敬隆 金田 茂 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.42, pp.91-96, 2006-05-11

携帯通信ネットワークでは,固定通信とは発想を異にしたユーザ誘導型トラフィック制御が注目を浴びている.ネットワークの輻輳(例えば花火大会の)時に,ユーザ端末に輻輳であることを表示するとともに,ユーザに通信しやすい場所を推奨する空間分散型制御・時間をずらして通信を促す時間分散型制御・音声からメールに代替メディアを提示するトラフィック縮退型制御が提案されている.しかしながら,ユーザの視点からこれらの制御を評価した検討は殆ど行なわれていない.本稿では,AHP(解析的階層過程)を用いてアンケート調査結果を分析することにより,ユーザ誘導型トラフィック制御に対するオピニオン評価手法を確立している.まずインターネットを介してユーザが容易に回答可能なwebサイトを構築している.次に,AHPの常套手段である一対比較行列計算ならびにその行列に対する固有値問題を解くことにより,ユーザ個々が抱く制御に対する不満度を定量化している.更に,回答結果の無為矛盾性を表すCI(整合度)値を閾値として使い,矛盾ある結果を出したアンケート回答者を除外することを提案する.アンケート回答者全体の意思を表す言わば集団一対比較行列の各成分は閾値をクリアしたユーザに対する一対比較行列該当成分の幾何平均を採ることにより作成している.このようにして得られた集団一対比較行列の最大固有値に対する固有ベクトルを求めることにより,集団意見としての不満度を定量化することに成功している.最後に,どのユーザ誘導型トラフィック制御に対するユーザ不満度が最大化するかが具体的・定量的に明らかになる.
著者
佐藤 浩史 山崎 敬広 高橋 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.289, pp.37-41, 2008-11-06

GPSなどによる位置情報は主にナビゲーションサービスで利用されてきたが,昨今は,各種のSNSやTwitterに代表される緩いコミュニケーションサービス,マーケティングなどにおいても重要なものとなってきている.しかし一方で,一般ユーザが自分の位置や行動の詳細を公にすることはプライバシ保護の意味で問題がある.そこで,コミュニケーション目的の公開に適した情報を生成するため,コンテクスト全体を曖昧にしつつ,位置とユーザの関連の強さを定量化する手法を提案する.この値は「におい」をメタファとして説明することが出来る.さらに適用イメージとして,お互いの「におい」をユーザ間で共有するSNSを例示する.
著者
小林 久美子 ヌグラハ イ グスティ バグス バスカラ 森田 啓義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.79, pp.43-48, 2009-06-04
被引用文献数
1

都市部において移動ノードが収集した情報を有効活用するため,情報を収集した場所に着目し,位置情報(緯度,経度)をキーとして,格子状のエリア毎に配置したステーションで管理する「位置に基づく情報の分散管理システム」を提案する.提案システムでは,エリア内は無線LANによるステーションと移動ノードのクライアント・サーバ型で,エリア間は有線LANによるステーション同士のP2Pで,通信を行う.エリア間P2Pネットワークでは,2次元の格子状エリアをトーラスと考え,緯度および経度方向の2つの1次元リングを用いた論理的ルーティングテーブル(フィンガーテーブル)を用いる.このフィンガーテーブルを参照することで,ステーションは位置情報に基づいて他エリアのステーションが管理する情報の検索や登録が可能となる.本稿では提案システムの基本シミュレーション評価結果を報告する.
著者
土井 賢治 田頭 茂明 藤田 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.420, pp.139-144, 2006-12-07

分散ハッシュテーブル(Distributed Hash Table: DHT)は,P2Pシステムにおいてネットワーク上に遍在する資源に対して効率的なアクセスを実現する手法のひとつとして高い注目を集めている.しかし,DHTにはP2Pオーバーレイネットワーク上のピア間の隣接関係が物理ネットワークにおけるノードの"近接性"には無関係に決められているという問題がある.本稿では,ピアがDHTに参加する際の手続きにおいて物理ネットワークにおけるノード間の近接性の全体的な関係を考慮できる手法を用いることで,ノードの近接性を考慮したP2P DHTの構築手法を提案する.提案手法の有効性はシミュレーションにより評価される.
著者
井上 知洋 秦 崇洋 中村 元紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.578, pp.483-488, 2007-03-01

ライフログのように個人ログ情報を網羅的に蓄積していく環境においては、蓄積した情報をどうやって整理し、ユーザに使いやすい形で提示するかが重要となる。本研究では、個人ログ情報の整理方法の一つとしてテキスト文書の自動分類技術に着目し、個人環境に特有のローカルな語彙やカテゴリーに適した自動分類システムを提案する。このシステムは、メールなどのいくつかのアプリケーションによる情報の整理履歴を用いてユーザの個人的環境に適応した分類コーパスを生成し、他のアプリケーションの扱う情報の自動整理を行うことを特徴とする。また、提案システムの初期的な評価として、入力したブログのテキストを元にウェブの閲覧履歴を自動分類した際の分類精度を示す。
著者
古川 久夫 宮口 庄司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.222, pp.167-172, 2007-09-13
被引用文献数
5

OBNは流通EDIなどを支援する企業専用IP網として1999年9月から商用提供されており、IP-VPN網構造の、情報安全性を重視する管理IP網である。OBNが使われている電子マネー決済、クレジッドカード決済、ASPサービスの通信枠組み例を報告する。
著者
中村 俊輔 太田 耕平 加藤 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.208, pp.55-60, 2000-07-17
被引用文献数
2

近年, インターネット上において, ビデオやIP電話等の低遅延, 低ジッタが要求される実時間通信のトラヒックが急増している.そのため, アプリケーション等の単位でトラヒックを集約して制御するCoS(Class of Service)が注目されている.CoSを実現する有力なキュー制御法の一つであるCBQ(Class Based Queueing)は高効率の帯域制御を動的に行うことが可能である.しかし, その帯域制御は実時間通信には必ずしも有効に働かない.本文ではCBQの動的制御が実時間通信に及ぼす影響を実験を通じて明らかにし, CBQの帯域割り当て自体に優先制御の概念を導入することにより不必要な制御のオーバーヘッドを回避し, 低遅延, 低ジッタの通信が可能となることを示す.また, 実システムを用いて有効性を示す.
著者
田中 真也 木村 成伴 海老原 義彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.327, pp.81-86, 2009-12-03
被引用文献数
1

VoIP (Voice over IP)の通話のセッション管理を行う SIP (Session Initiation Protocol)では,いくつかのプロキシサーバを中継してメッセージが送られる.各々のプロキシサーバではメッセージの解析・編集などに処理時間がかかるため,メッセージは平文で送られるのが一般的だが,メッセージの盗み見によるセッションの不正切断などの問題が生じる恐れがある.この問題を改善するため,本論文では,SIPセッション確立時に,SUBSCRIBEメッセージを使用する方式を提案する.本提案では,同メッセージの応答の一部のみを暗号化する事で,プロキシサーバの負荷の増加を抑制している.提案方式のプロトタイプシステムを用いた実験結果から本方式の有効性を示す.
著者
Yagi Takeshi Chan Alberto Tanimoto Naoto HARIU Takeo ITOH Mitsutaka
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.116, pp.37-42, 2010-07-01

In recent years, web-based applications have gained popularity due to the emergence of the trends such as netbooks and cloud computing. This popularity, along with the emphasis on personalization, has lead to the development of many web applications developed by many people. Due to negligence in secure coding, many of these web applications contain vulnerabilities. This has attracted the attention of attackers who want to exploit these security vulnerabilities to hack the web applications. Malicious users who may illicitly use these web applications and the data contained in their databases pose a constant threat. Therefore, it is necessary to protect these web applications as well as the servers on which they run. In order to effectively protect the web applications, a method of monitoring and analyzing attack is necessary in addition to the conventional intrusion detection systems. Honeypots are highly versatile security tools with various applications to internet security. They are computing resources where their value lies in the information they capture while being probed, attacked, or compromised. In this paper, we will discuss the investigation and evaluation of two web honeypots-the High Interaction Honeypot Analysis Tool and the DShield Web Honeypot as well as our proposal for a hybrid honeypot based on the results.
著者
杉山 浩平 大崎 博之 今瀬 眞
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.42, pp.85-90, 2006-05-11
被引用文献数
4

近年、現実に存在するさまざまな複雑ネットワークの構造への注目が高まっている。このようなネットワークの構造が持つ特性は、例えば情報検索・データマイニング等へ、さまざまな形で応用が可能であると考えられる。しかし、ネットワークの構造からどのようなことが分かるか、また、ネットワークの構造をどのように活用できるかについては、これまで十分な検討が行なわれていない。そこで本稿では、論文の参考文献一覧・著者情報をもとに、論文の引用関係ネットワークおよび論文の共著関係ネットワークを構築する。さらに、ソーシャルネットワークの分析に用いられている、ネットワーク分析手法を適用することにより、論文の引用・共著ネットワークがどのような構造になっているかを明らかにする。その結果、論文の引用関係ネットワークはグループ構造を持たないこと、ノードの入次数(論文の被引用数)の分布がべき乗則に従うことなどが分かった。また、論文の共著関係ネットワークはグループ構造を持つこと、スケールフリー構造を持つことなどが分かった。
著者
齋藤 瑞貴 井上 明也 土屋 洋平 岩下 基
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.478, pp.67-72, 2015-02-23

現在,携帯電話市場は,モバイルインターネット・ユーザの増加やスマートフォン市場の急成長により活性化しているが,各キャリアが提供するサービスや端末に差がなくなり,携帯電話キャリア間でのシェア競争は激化している.本稿では,独自に実施した市場調査データに基づき,このような状況における携帯端末の購買行動や携帯電話キャリアの選択行動の分析結果を示す.また,これらの行動の変化を考慮した新たなキャリア選択行動をモデル化し,今後の市場の変化を考察する.
著者
八木 毅 波戸 邦夫 田邉 正雄 村山 純一 外山 勝保 大崎 博之 今瀬 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.461, pp.103-108, 2007-01-11
参考文献数
5
被引用文献数
3

本稿では,実社会情報に基づくニックネーム通信および接続制御技術によりSocial Networking Service (SNS)のセキュリティを強化する方式を提案する.従来のSNSでは,ユーザ識別子を用いた通信と,登録制や招待制に基づくユーザ間接続制御により,SNSサイト内に,現実社会の人間関係をマッピングしたコミュニティを生成する.これにより,インターネットと比較して,セキュリティを向上させている.しかし,従来方式では,ユーザ識別子がサイト全体でユニークであるため,ユーザ数の増加に伴いユーザ識別子の漏洩に起因したスパム被害およびフィッシング被害が増えていた.さらに,各ユーザがサイトに申告した年齢や住所などのアカウント属性情報と実社会の個人情報の一致性を確保できないため,不正ユーザがアカウント属性を詐称して正規ユーザとして振舞うことができた.これらの問題を解決するために,提案方式では,コミュニティ毎に,各ユーザが設定したニックネームに基づくコミュニティ通信環境を構築する.これにより,スパム被害やフィッシング被害を防止する.さらに,提案方式では,各コミュニティ管理者の要求に応じて,コミュニティ参加希望ユーザのアカウント属性情報と実社会の個人情報の一致性を確認する.これにより,アカウント属性情報の詐称を防止し不正ユーザを排除できる.提案方式では,情報の到達範囲を意図的に限定することが可能となり,その結果としてセキュリティが強化できる.
著者
松浦 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.307, pp.33-38, 2012-11-14

近年のネットワーク機器における使用電力の削減要求を鑑み、筆者はすべてのエッジノードに跨るSteiner tree上のノードとリンクのみを利用するルーティング手法を提案した。この場合Steiner treeはすべてのエッジノード間のコスト最小を目的とするツリーなので、エッジノード間の経路として利用されるコアノードとリンク数は大幅に削減でき、利用していないノードとリンクをスリープモードにすることにより大幅に使用電力の削減が可能になる。しかし、Steiner tree上の特定のリンクが過剰に利用されてしまい、そのリンクがボトルネックになり通信品質が落ちることが懸念される。そのため、本稿では作成したSteiner treeにバイパスを加えることにより、高いスリープ率を維持しつつ、ボトルネックリンクを削減する手法を提案する。また、マルチドメイン環境で境界ルータが存在し、その境界ルータにトラフィックが集中する際のバイパス設定手法についても提案する。
著者
鈕 龍 [マツ]本 真佑 佐伯 幸郎 中村 匡秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.110, pp.73-78, 2014-06-19

近年,センサ技術や無線技術の飛躍的な進歩に伴い,屋内測位システム(Indoor Positioning System,IPS)の研究が盛んである.また,屋内位置情報を用いた屋内ロケーションアウェアサービス(Indoor Location-Aware Service,InLAS)に注目が集まり,いくつの実用化事例も登場している.しかしながら,現状では,IPSとInLASが密結合しているため,InLASが複雑化し開発効率が低下してしまう.先行研究で,IPSで得られる屋内位置情報をその目的や用途,推定手段に依存せずに,中立的に表現するためのデータモデルData Model for Indoor Location(DM4InL)を提案している.本研究では,DM4InLを基づいて,InLASのための屋内ロケーション問い合わせサービス(Indoor Location Query Services,ILQS)の実現を目指し,ILQSのAPIを検討する.これらのAPIを利用することで,InLASの開発者はIPSの詳細な実装を知らなくても屋内情報を取得することができ,効率的なInLAS開発を実現できる.
著者
岡本 卓也 長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.384, pp.13-18, 2002-10-11
被引用文献数
2

現在のインターネットにおいては、Webプロキシサーバを経由したWebサーバへのアクセスが数多く存在する。Webプロキシサーバはその性質上、WebクライアントホストからのTCPコネクションおよびWebサーバへのTCPコネクションを収容しなければならないため、Webプロキシサーバにおいて効率的な資源管理が必要になる。そこで本稿では、Webプロキシサーバの高速・高機能化を実現するための資源管理方式を提案する。提案方式は、Webプロキシサーバの特性を考慮し、WebプロキシサーバがWebサーバからドキュメントをダウンロードする際に、各TCPコネクションのネットワーク状況に応じた大きさのTCP受信バッファを動的に割り当てる。したがって、ネットワーク帯域が大きいTCPコネクションにはより多くの受信ソケットバッファを割り当て、またネットワーク帯域が小さいTCPコネクションにはより少ない受信ソケットバッファを割り当てることが可能となるため、Webプロキシサーバの資源を効率的に利用することができる。本稿では、提案方式の有効性をシミュレーションを用いて検証した。その結果提案方式を用いることによって、Webプロキシサーバの特性を考慮した効率的な資源管理を行うことができ、資源管理をしない従来方式と比較して最大2倍のスループットが得られ、応答時間も約1/4に短縮できることを示す。