著者
高元 政典 山田 直之 小林 康弘 野中 久典 大越 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.2075-2082, 1994-10-25
参考文献数
12
被引用文献数
4

工業プラントの建設工程計画作成では,各作業単位に必要な資源量から算出する毎日の必要総資源量の変動やピークはできるだけ小さい方が望ましい.縦軸に必要総資源量を,横軸に時間をとり,必要資源を山積みで表すと,必要総資源量の変動やピークの最小化はその山積みの平準化に相当する.この山積みの平準化には,平準化に伴い単調増加または減少する関数を目的関数として各作業単位の開始日を決定する最適化問題を効率的に求解する必要がある.しかし,工業プラントの建設は,作業単位が100以上,建設に要する全期間が1,000日以上と大規模な場合が多く,上記最適化問題の大域的最適解の求解は困難である.また近似解法であってもその求解効率が問題となる.そこで,本研究では,必要資源量の山積みの平準化を目的とした大規模最適化問題に対し,近似解を高速に求解するアルゴリズムを開発した.本アルゴリズムは,最適化問題を定式化した0-12次計画問題に対し,平準化のために設けたピボット変数選択規則によるピボット操作を繰り返して準最適解を高速求解する.本アルゴリズムを実際の工業プラントと同規模の例題へ適用した結果,よい近似解を数分(計算機性能:28MIPS)で得るこができ,アルゴリズムの有効性を確認した.