- 著者
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             武山 絵美
             
             笹山 新生
             
             野中 仁智
             
             九鬼 康彰
             
          
- 出版者
- 公益社団法人 農業農村工学会
- 雑誌
- 農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.2, pp.I_25-I_31, 2015 (Released:2015-04-23)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
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             1
             
             
             
          
        
        本論では,樹園地を対象に,イノシシの生息地の集塊性と連結性を評価した.その結果,本来の生息地である雑木林パッチn=44に新たな生息地として放棄畑を加えると,雑木林間が放棄畑でつながりパッチ数がn=13と減少し,最大パッチサイズが12.3haから41.0haに拡大するなど,集塊性および連結性が高まることが確認された.これに加え,防護柵のない畑が生息地間のコリドーとして機能すると,生息地の連結性が更に向上し,生息地面積の80%が連結されることも確認された.すなわち,柵の設置には,内部の農地の被害防除だけでなく,生息地間の移動を妨げてイノシシが農地周辺に生息しづらい環境を形成する生息地管理の役割も期待できる.また,グラフ理論を用いた生息地ネットワーク分析により,生息地の連結性維持に重要な役割を果たすパッチやコリドーを抽出することが可能であることも示した.