著者
林 洋子 山口 東平 野中 俊輔
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.309-312, 2004-12

症例は46歳,女性. 1988年に原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断され,加療を受けていた. 2002年肝硬変による浮腫,腹水貯留が出現し,2003年には腹部CTにて門脈血栓を指摘された. 2004年4月4日,吐血し,意識レベルの低下を認め,緊急入院となった. 食道静脈瘤,貧血の治療を行うも,血圧は徐々に低下し,吐血から26時間後に死亡した. 病理解剖では,多量の消化管出血及びstageIVのPCBを背景に広範な急性中心性肝壊死が認められた. Sepsis,DICの所見も確認された. 死因は,septic shockの可能性も否定できないが,hypovolemiaに起因する中心性肝壊死による肝不全が直接死因として最も重要な病態と考えられた.