著者
野元 優貴 喜島 祐子 新田 吉陽 平田 宗嗣 吉中 平次 夏越 祥次
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.768-772, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
13

症例は57歳,女性.2011年3月に左乳癌に対して,胸筋温存乳房切除術(Bt + Ax + Ic)を施行した(pT2N3aM0 stage IIIC).術後補助療法として,2011年4月よりエピルビシン+シクロフォスファミド(EC)療法を4クール,同年7月よりパクリタキセル(PTX)療法を4クール施行した.2012年1月に腫瘍マーカーの上昇と多発肝転移を認め,再発1次治療としてEC療法を6クール施行した.投与中,腫瘍マーカーは低下傾向にあり,肝転移巣も縮小傾向にあった.再発一次治療終了直後より食思不振が出現し,近医に入院した.その後,急速にperformance status(PS)が低下し,頭部造影CTを施行したが異常所見は認められなかった.原因検索のため当院に転院となり,第20病日に髄液穿刺および頭部造影MRIにて髄膜播種の診断がついたが,第22病日に永眠された.急速に進行した乳癌髄膜播種症の症例を経験したので,文献考察を追加し,報告する.