著者
野口 勝可 中山 兼徳
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.233-239, 1979-12-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

主要な畑雑草種子の発芽および出芽と水分条件との関係について, 普通作物, 牧草種子と比較, 検討した。1) 土壌水分条件を変えて出芽との関係を検討した結果, 各供試植物とも含水比54.6% (pF 1.5) の条件で最も出芽率が高く, 含水比の低下とともに出芽率も低下し, また平均出芽日数が増加した。土壌水分の低下による出芽率の減少は普通作物より雑草と牧草で著しく, 出芽のための限界的な土壌水分条件は, 含水比で作物では20%前後, 雑草と牧草は25~30%と推定された。なお, 本試験の範囲では, 雑草間の異差についてははっきりしなかった。2) 土壌水分の違いによる出芽率の差異は種子の吸水力が関与しており, グルコースモル濃度により浸透圧を変えて試験した結果, 種子の吸水力は作物で大きく, 雑草と牧草は小さかった。また, 浸透圧の高い条件では草丈・主茎長や根の伸長などの生育も抑制された。3) 圃場において, 地表面 (0~1cm層) の土壌水分は, 灌水後数日で含水比25~30%以下に低下し, 雑草種子の出芽限界以下になるが, それより下層 (1~2cm層) では比較的安定しており, 種子位置のわずかの違いが出芽にとって重要な要因であることが明らかとなった。
著者
野口 勝可 中山 兼徳
出版者
The Weed Science Society of Japan
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.233-239, 1979

主要な畑雑草種子の発芽および出芽と水分条件との関係について, 普通作物, 牧草種子と比較, 検討した。<br>1) 土壌水分条件を変えて出芽との関係を検討した結果, 各供試植物とも含水比54.6% (pF 1.5) の条件で最も出芽率が高く, 含水比の低下とともに出芽率も低下し, また平均出芽日数が増加した。土壌水分の低下による出芽率の減少は普通作物より雑草と牧草で著しく, 出芽のための限界的な土壌水分条件は, 含水比で作物では20%前後, 雑草と牧草は25~30%と推定された。なお, 本試験の範囲では, 雑草間の異差についてははっきりしなかった。<br>2) 土壌水分の違いによる出芽率の差異は種子の吸水力が関与しており, グルコースモル濃度により浸透圧を変えて試験した結果, 種子の吸水力は作物で大きく, 雑草と牧草は小さかった。また, 浸透圧の高い条件では草丈・主茎長や根の伸長などの生育も抑制された。<br>3) 圃場において, 地表面 (0~1cm層) の土壌水分は, 灌水後数日で含水比25~30%以下に低下し, 雑草種子の出芽限界以下になるが, それより下層 (1~2cm層) では比較的安定しており, 種子位置のわずかの違いが出芽にとって重要な要因であることが明らかとなった。
著者
野口勝可 中山兼徳 潘釆敦
巻号頁・発行日
no.22, pp.179-202, 1975 (Released:2011-09-30)
著者
中谷 敬子 野口 勝可 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.184-188, 1996-10-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1

スギナの胞子の発芽および前葉体の形成条件を培養条件下で検討した。その結果, MS寒天培地, 明条件下では, 胞子置床後約30日で前葉体が, 約60日で栄養茎がそれぞれ形成された。続いて, スギナの胞子の発芽および前葉体の形成に及ぼす温度条件, 培地の酸性度, 酸素要求性および土壌水分条件等の環境条件の影響についてMS寒天培地, 土壌培地等を用いて検討した。スギナ胞子の発芽可能温度域は15~30℃, 最適温度は20℃であった。培地の酸性度については, 寒天培地の場合はpH 4.5~6.5の範囲で発芽が認められ (最適値はpH 5.7), 土壌培地の場合は, pH 5.3~7.2の範囲で良好な発芽後の分裂伸長が認められた。また, 窒素封入条件でも発芽し, 発芽に際して酸素要求性は低かった。胞子の発芽および前葉体の形成に関しては, 土壌水分の影響が大きく, pF 2.7以下の条件で発芽可能, pF 2.0以下の条件で前葉体形成が認められ, 土壌水分が高いことが必要であることが明らかになった。