著者
松下 年子 野口 海 小林 未果 松田 彩子 松島 英介
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 = Japanese journal of general hospital psychiatry (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.142-152, 2010-04-15
参考文献数
7
被引用文献数
2

がん患者が受けた医療者による情報提供と,心のケアの実態を把握するために,インターネットを媒体とした質問調査を実施した。患者がとらえる心のケアは形式的なものではないこと,病名および再発告知(情報提供)の際の心のケアの質・量には幅があること,ケア提供者の89.7%と91.4%は主治医であることが示された。一方,病名告知に伴う自らの相談行為は55.8%に認められ,その相手はプライベートな関係者が圧倒的に多かった。治療中の相談行為は47.2%に認められ,そのうちの75.4%が相談相手を家族としていた。治療中に心のケアを受けた者は32.2%にすぎなかったが,ケア提供者は告知時と比較して主治医以外の医療職が多かった。情報提供の際のより積極的な心のケアの提供と,患者から相談を受ける体制の構築,治療中のがん患者への相談サービスの提供とアピール,主治医以外の医療職による心のケアの展開などの必要性が示唆された。