著者
野坂 英樹 佐藤 圭路
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.291-293, 2019 (Released:2019-05-28)
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は60代男性. 自殺目的で自動車ラジエーター用不凍液約100mL摂取後, 嘔吐を繰り返し, 当院へ救急搬送された. 病着時, 重症アシドーシス (pH 7.003, PaO2 129mmHg, PaCO2 13.4mmHg, BE −26) と腎機能障害 (Cr 1.6mg/dL) を認めた. エチレングリコール中毒に対し, 急性血液浄化療法を直ちに開始, 中毒情報センターからの情報でホメピゾールも入手可能となり, 第2病日よりホメピゾール投与を開始とした. 第10病日, 自尿が出現, 腎機能も軽快し (Cr 11.0→6.6mg/dL), 透析を離脱, 第19病日に自宅退院となった. 2015年より本邦で使用可能となったホメピゾールは有効な治療薬であるが, 高額で常備薬として配置されにくい. 緊急時に入手可能となるべく地域での供給体制等につき使用する側が熟知し, 中毒診療における救命連鎖の体制を構築することも重要と思われた.