著者
藤浪 好寿 杉山 隼 佐藤 圭路 切田 学 井上 茂亮 小谷 穣治
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.16-19, 2023-06-22 (Released:2023-07-26)
参考文献数
6

ショック傷病者に対する病院前静脈路確保が救急救命士の特定行為に追加され,その活動の質は傷病者の転帰に影響する因子として注目されている。今回,活動の質を評価することを目的に,神戸市消防局データベースよりショック傷病者に対する静脈路確保成功率と現場滞在時間を算出した。成功率は外因(傷病者)80%,内因70%であった。外因の処置成功を処置未実施と比較すると,現場滞在時間は延長しなかった。神戸市では外因症例で病院前診療が介入する頻度が高く,救命士が病院到着まで対応する傷病者は内因症例が多い。地域性により結果と問題点が異なるため,地域ごとにデータを示していく必要がある。
著者
野坂 英樹 佐藤 圭路
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.291-293, 2019 (Released:2019-05-28)
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は60代男性. 自殺目的で自動車ラジエーター用不凍液約100mL摂取後, 嘔吐を繰り返し, 当院へ救急搬送された. 病着時, 重症アシドーシス (pH 7.003, PaO2 129mmHg, PaCO2 13.4mmHg, BE −26) と腎機能障害 (Cr 1.6mg/dL) を認めた. エチレングリコール中毒に対し, 急性血液浄化療法を直ちに開始, 中毒情報センターからの情報でホメピゾールも入手可能となり, 第2病日よりホメピゾール投与を開始とした. 第10病日, 自尿が出現, 腎機能も軽快し (Cr 11.0→6.6mg/dL), 透析を離脱, 第19病日に自宅退院となった. 2015年より本邦で使用可能となったホメピゾールは有効な治療薬であるが, 高額で常備薬として配置されにくい. 緊急時に入手可能となるべく地域での供給体制等につき使用する側が熟知し, 中毒診療における救命連鎖の体制を構築することも重要と思われた.
著者
佐藤 圭路 氏家 良人 長野 修 足羽 孝子
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-27, 2010-03-25 (Released:2011-03-15)
参考文献数
6

岡山大学病院における院内急変シミュレーションの現状について述べた。シミュレーションは,院内各部署で行われ,事後のアンケート結果からは,おおむね有用であり継続開催の希望が多かった。また,院内緊急連絡システムの改善がなされ,緊急メールシステムの運用が開始された。シミュレーション開始後,院内でのAED(Automated External Defibrillator)使用例では,13例中5例に心拍再開が得られた。院内救急システムを円滑に活用するためには,ワーキングフィールド内での急変シミュレーションを行うことが有用と思われた。