著者
廣瀬 奈々美 野嵜 友成 松浦 健二
出版者
京都大学学際融合教育研究推進センター高大接続科学教育ユニット
雑誌
ELCAS Journal
巻号頁・発行日
vol.1, pp.94-95, 2016-03

農学 昆虫世界の謎解き《目的》バッタやカなどの昆虫では、卵生産時の雌個体の脂肪体で核DNAの倍加が生じることが知られており、これは脂肪体で卵生産に必要な卵黄タンパクを大量生産する上で適応的だと考えられている。社会性昆虫の女王は卵の生産に特化したカーストであり、多くの卵を産む女王ほど脂肪体の核相倍化が進んでいるのだろうか。本研究では、ヤマトシロアリの女王の発達段階における脂肪体の核相倍加について調べた。《方法》有翅虫(羽アリ)、一次女王(創設3か月のものと野外で採集したもの)、二次女王、の頭部と脂肪体の核相の倍加レベルを、フローサイトメーターを用いて測定した。《結果》有翅虫と、若い(3か月飼育したもの)一次女王の脂肪体に倍加の程度に差はないが、卵巣が大きく発達した一次女王(野外で採集したもの)と二次女王の脂肪体では核相の倍加レベルが高かった。