著者
小林 達矢 竹中 裕人 立松 典篤 井上 倫恵 白井 祐也 野口 泰司 野嶌 一平 杉浦 英志
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12154, (Released:2022-05-20)
参考文献数
34

【目的】ロコモ度1と判定された地域在住高齢者の身体機能評価の特徴を明らかにし,ロコモ度1以上に対する身体機能評価のカットオフ値を探索すること。【方法】2019年に名古屋大学近郊自治体で行われた健診事業に参加した65歳以上の高齢者182名を解析対象とした。対象者を非ロコモ群,ロコモ度1群に分け,2群間で身体機能評価との関連性を分析し,有意な関連がみられた因子についてロコモ度1以上に対するカットオフ値を検討した。【結果】ロジスティック回帰分析の結果,開眼片脚立位時間がロコモ度1と有意な関連を示した(p<0.01)。ロコモ度1以上に対する開眼片脚立位時間のカットオフ値として17.0秒が示唆された。(AUC=0.66, 感度:42%,特異度:88%)。【結論】ロコモ度1と最も関連する身体機能評価は開眼片脚立位時間であることが示唆された。ロコモ度1以上に対するカットオフ値として開眼片脚立位時間17.0秒が示唆された。
著者
野嶌 一平 美馬 達哉 川又 敏男
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.82-89, 2012
参考文献数
41

【目的】ミラーセラピー(Mirror Therapy:以下,MT)による運動機能,脳機能の変化を検討するとともに,経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて大脳皮質に直接的介入を行い,MTによる運動学習時の一次運動野(M1)の役割をあきらかにすることを目的とする。【方法】対象は,健常成人12名とし,全例右利きであった。運動課題は30秒間の左手でのボール回し課題とし,脳機能はTMSにより導出された運動誘発電位振幅を指標とした。MTは,左手に重ねられた鏡に映る右手運動の視覚フィードバックを伴った右手での運動介入を行った。その後,大脳皮質の活動性を抑制するcontinuous theta burst stimulation(以下,cTBS)をM1と視覚野(Occipital:以下,OC)に各々2群に分けて実施した。その後,再度MTを実施した。運動機能と脳機能の評価は,各介入後に実施した。【結果】MTにより運動機能と脳機能の有意な向上が見られた。そしてcTBS実施により,M1群でのみ運動機能,脳機能ともに一次的に低下が見られ,再度MTを実施することで運動機能と脳機能の向上が見られた。【結論】MTによる運動機能の向上にはM1の活動性向上が必要である可能性が示唆された。